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ハンディをもつ人のためのピアノ教室と「小さな小さな音楽会」を主宰する成田文忠さん(その2)

2007-12-27 19:33:38

人にものを教える、まして自分の子どもに教えるというのは、感情が入りすぎることもあったりして、実際にはなかなかむずかしそうに思えます。
成田さんも、ときには文明さんに強い口調でピアノを教えてしまうことがあったそうですが、あるとき、ほめることで上手に弾けた文明さんを見て、「できることをほめる」大切さに気づき、それからはほめるレッスンへと変わっていきます。

やがて、文明さんが大勢の人の前でピアノを弾くときがきました。奥さんの喜美子さんが、文明さんにピアノを弾かせたい、と小学校の行事の出演者募集に応募して実現したのです。文明さんは大勢の前で見事に演奏し、大きな拍手を受けました。これは文明さんにとってかけがえのない経験となり、成田さん夫婦にも心からうれしいことでした。

現在は多くの生徒にピアノを教えている成田さんですが、自分の息子である文明さんが、まず生徒になっていろいろ学ばせてくれたおかげで今があるのだと思っています。

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  【お気に入りのリヒナーの『勿忘草(わすれなぐさ)』を弾く文明さん。
   ピアノの音色が心に響いてきます】
数年後、知的障がいをもつ子どものお母さんに、うちの子にもピアノを教えてほしいと頼まれ、音楽の専門家でない成田さんはとまどいますが、ここでも前向きな性格の喜美子さんの賛成と、そして自身の入院を転機に、教室を始めることになりました。
「みんなのなかに音楽はあるんです」「種をまけば芽が出るでしょう。それと同じです。時間がかかっても、芽は出てくるんですよ」
穏やかに、でも力強く語る成田さんから、子どもたちへの愛情が伝わってきます。
そして、「知的障がいがあるからといって、もうこの子はこの辺までか、などと希望を捨てないでほしい」とも。

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  【2005年に出版された「僕もピアノが弾けたよ」(とびら社)】

「小さな小さな音楽会」は、ピアノを上手に弾く生徒もいれば、舞台に出てきてなかなか弾かなかったり、まったく弾かない生徒もいる、何でもありの音楽会。
そのビデオを見せていただいたのですが、出演した子どもたちの飾り気のなさ、かわいらしさ、真剣さにひきつけられました。そして成田さんをはじめ、スタッフや観客の温かくて楽しい雰囲気も伝わってきて、実際にその場に出かけてみたくなりました。

今年は20回を記念して、座席数の多い逗子のホールで行われましたが、来年は昨年までと同じ公民館で行なう予定とのこと。まだ予約を取れないため日にちは未定です。
「椅子も少ないので立ち見していただくことになるかと思いますが、よろしければぜひこの音楽会にいらしてください」と成田さん。
日時や場所が決まったら、このブログでもご紹介します。
音楽会のスタッフは、成田さんの友人・知人や地域のみなさんがボランティアで務めています。

成田さんのピアノ教室は、NHKの「にんげんドキュメント」などテレビで紹介されたことで、それを見て感動したピアノの先生が同じ活動を始めたり、「小さな小さな音楽会」にその先生の生徒たちが出演したりと、周りに影響を与えたり交流も生まれています。また現在、成田さんのピアノレッスンを手伝ってくれるピアノの先生もあるそうです。
が、教える人はまだまだ足りません。成田さんはこれから先、一緒に活動していく人がもっとふえていってほしいと思っています。
知的ハンディのある人たちがどこへ住んでいてもピアノを習うことができるようになってほしい、それが成田さんの願いです。

以前は知的障がいなどへの周囲の理解はあまりなく、文明さんが幼いころにはつらい思いもしたけれど、障がいをもつ人への理解は昔よりは進んできたように思う、という成田さん。
私自分を振り返ってみると、知的障がいのある方とは街や電車で話すなど、時折接する機会はあっても、“理解している”とは言いがたいのが現実です。
ですが、成田さんの「ひとりでも多くの方たちに、障がいのある人のことを知ってもらいたいです」という言葉をきいて、『そうだ、これから知っていってもいいんだな。背伸びしないで、私でもできそうなことは何なのかを考えていこう』と思い始めました。

折しも、先週NHKの朝のニュースで映画『筆子・その愛−天使のピアノ−』を紹介していました。この映画では、知的障がいをもつ子の母である筆子が障がいをもつ子どもたちの教育にかけた半生を描いているとのこと。山田火砂子監督のお嬢さんも知的障がいのある方です。「障がいをもつ子どもたちがいきいきと出演しているので、ぜひ子どもたちを観に来てほしい」と監督は言っていました。
『のんびる』1月号の読者の方の投書でも、この映画が紹介されていました。
私もどこかの会場で観ようと思っています。

成田さん、そして強い風の吹く外まで出てきて見送ってくださった文明さんと喜美子さん、ありがとうございました。

あなたもお出かけになりませんか。来春の「小さな小さな音楽会」へ。

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 【「いまでも、新しい発見がいっぱいあります。『この子、すごい!』
   と思うことがあるんですよ」と喜美子さん】

<参考>
映画『筆子・その愛−天使のピアノ−』公式サイト
http://www.gendaipro.com/fudeko/
セカンドリーグの情報誌『のんびる』をまだご存じない方に   
http://secondleague.net/nbr/index.html                  

よいお年をお迎えください。        (成相陽子)

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