今回は、ユニバーサルな着やすい服などについての情報を集めて提供している、「衣生活ネット花」のみなさんをご紹介します。
衣生活ネット花のメンバーは、「通常の衣服に工夫をすることで、年齢を重ねた人や障害をもつ人たちに少しでも楽しく快適に過ごしてほしい」と願って活動しています。
月に一度の東京(田町)での定例会。今年の活動方針を話し合うという日にうかがいました。
お話によると最近は以前に比べ、からだが不自由になったときに着る衣服は、福祉機器展などでもあまり扱われなくなってしまったそうです。
売られていても、値段は高いのにデザインなどはぱっとしない。
「高齢者や障害者が衣服のおしゃれを楽しめるお手伝いをしたいんです。そして、介護に役立つ服が、普通の既製服のなかから自然に見つけられる時代がくるといいなと思っています。介護服メーカーも、もっと考えてほしいですね」と、みなさん。
おもな活動内容は
・高齢者や障害者への衣服に関する情報の収集・発信
・会員の勉強会の開催(使いやすい留め具・楽なパターン・既製服の選び方など)
・公開講習会の開催(着やすい服の講習会、出張授業など)
・「花通信」発行(季刊)
・フォーラムまつり、よこすかふれあいフェスティバルなどでの展示会
参加
など。
2006年4月〜2008年2月までの2年間は、介護関連の雑誌、「かいごの学校」(株式会社医療企画)からの依頼で、『着楽な暮らし』という衣服のアイデアを紹介するページの連載も担当しました。

ちなみに、最終回のテーマは、「片まひの人の着楽なおしゃれ」。
「お気に入りのシャツを着て、好きな映画を観にいきたい」という男性には、シャツの袖口やズボンのウエストへの工夫を、「寒くても元気に外出ができる暖かいおしゃれがしたい」という女性には、車椅子で使える巻きスカート、ケープ型の上着、片手で留まるファーなどを提案しました。
また、衣生活ネット花では、衣服についての悩み相談をメールで受け付けています。
これまでに寄せられた内容は、ワイシャツの片方の袖口ボタンがかけられないという片まひの方、結婚式に車椅子で列席するおばあちゃんに留袖を着せてあげたいけれど、どうしたらいいか、などさまざま。どこに相談したらいいのかわからない、着たい服がみつからない、といった声が多いのだとか。
現在、正会員は8名。みなさんに参加のきっかけなどをききました。
◆北村さん(神奈川県横須賀市在住)
着やすい服があることを知ったのは、療養していたお父さんが亡くなったあと。地元の福祉会館のポスターで衣生活ネット花を知る。見せてもらった留め具の工夫が衝撃的だったことをきっかけに、縫製が得意なわけではないけれど、参加したくなった。知らないことばかりで、目が鍛えられる。HP担当。福祉住環境コーディネーター2級。
◆根本さん(神奈川県横浜市)
会の代表、広報。看護師。世代、仕事、住む地域、家族背景、感性の異なるみなさんで集まっているのがおもしろい。感動がある。
◆山口さん(埼玉県さいたま市)
自分で洋服のリフォームをするのが好き。
さいたま市で開かれたフォーラムまつりで見た、スカーフに手を加えた上着などのアイデア作品がとてもすてきだった。それに心ひかれ、参加するように。いちばん新しいメンバー。
◆川谷さん(横浜市)
教師だったが早期退職し、ライフワークを探していた。洋裁が好きだったので、50歳から3年間洋裁学校に通う。障害者とふれあったときに、衣服の着脱のたいへんさを知り、そういう人のために洋服をつくっていきたいと気持ちが固まったが、情報がなかった。横浜フォーラムまつりに出かけ、『絶対に、この会に入りたい』と思い参加。
◆川崎さん(埼玉県鳩ヶ谷市)
専業主婦だったが、40代で子育てがおわり、家にいるだけではなく人のために役立ちたいと思っていた。和服をフォーマルにリフォームして喜ばれたことも。工夫して洋服をつくることが好き。
◆富本さん(横須賀市)
裁縫・パソコンが大好き。現在、布ぞうりネットショップを運営。以前は、仕事で車椅子を利用する方のGパンなどをつくっていた。
◆中村さん(神奈川県川崎市)
職業はパタンナー。義父母の介護を振り返ってみて、あのとき、ああしてあげていたらよかったと思うことがある。抵抗なく着れる介護服をふつうの売り場で売ってほしい。病院で着る服こそ改良してほしい。前がはだけるようなものでなく、尊厳を守れるものに。
◆田中さん(さいたま市)
リフォーム屋さんに長く勤めてきた、洋裁のプロ。お客さんからのさまざまな依頼に柔軟に対応し、細やかなアドバイスもして喜ばれた大ベテラン。

【大判スカーフからつくったボレロ風上着。片まひの人にも着脱しやすいデザインで、ポケットもついています。これにひかれてメンバーになった山口さん。その後、自分でつくって着用しています】
さまざまな理由で、衣服の着脱に不自由している人はたくさんいるはずなのに、そういう人たちに向けての機能的でおしゃれな服があまりつくられていないという現実には、自分や家族が元気な生活を送っているときには、なかなか気づけないかもしれません。
でも、いつかからだの自由がきかなくなる可能性は誰にだってある。そう考えると、少しでも快適に明るい気持ちで過ごすために、脱ぎ着しやすくておしゃれな服は必要であり、種類もさまざまにふえていってほしいものです。
衣生活ネット花の活動はボランティアですが、介護の経験や服にかかわる仕事などをとおしてユニバーサルな着やすい服への熱い思いをもつようになったみなさんの話を聴いて、ぜひいつか事業へとつながってほしいと思いました。
また私も、山口さんが心ひかれたスカーフのボレロに一目ぼれ。これなら、私にもつくれそう。うちのたんすに眠っている、あのスカーフも生き返るなー、とスカーフボレロ(私が勝手につけた名前ですが)の講習会を開いてもらいたくなりました。
そして、「あるご主人は、からだの不自由な奥さんのために、このスカーフ上着を自分でつくってあげたんですよ」ときいて、胸が熱くなりました。
裁縫の好きな方、ユニバーサルな着やすい服について関心のある方は、この活動に参加してみてはいかがでしょう。
やさしい雰囲気に心がなごむHPも、ぜひご覧ください。
衣服の悩みがある方は、メールで相談されるのもいいかもしれませんね。
【衣生活ネット花】
http://homepage2.nifty.com/humming/
衣服についての悩み相談をしたい方は、メールでご相談ください。
iseikatu@aol.com
☆服のお直しを承る場合は、相談のうえ、材料費・交通費をいただきます。時間や場所の関係で、お受けできかねる場合もあります。
一緒に活動するメンバー募集中!性別、年齢を問いません。
会費 月500円(定例会への交通費は自費です)
(成相陽子)