「すみれの会」は毎月一度、地域のひとり暮らしの高齢者を招いて、昼食会をしているボランティアグループです。
活動場所は、神奈川県逗子市の沼間公民館。1990年(平成2年)から、こころをこめて料理をつくり続けてきました。
近隣の高齢者の方たちが毎回、この昼食会を楽しみにやってきます。
昼食会の行なわれる日、忙しいなかを取材させていただきました。
公民館の2階にある調理室に入ると、香ばしい、いいにおい。色とりどりのエプロンに三角巾姿のすみれの会のみなさんが、野菜を切ったり揚げ物をしたりと料理の真っ最中です。
それぞれが真剣に手を動かしているけれど、家族のために料理をつくり続けてきたみなさんの、主婦としてのキャリアとチームワークのなせる技なのでしょう。なごやかで楽しそう。
すみれの会では、毎月2人づつが当番となって献立を決め、本番前に練習でもその料理をつくってみるということです。よりおいしいものを高齢者のみなさんに食べてもらいたい、という心意気を感じます。
料理の献立づくりのときに大切にしているのは、旬の食材を使うこと、色合い・味のバランス、季節の行事をとりいれたものにすること。
「ひとり暮らしの高齢者の方が、この昼食会の日は“ごちそう”になるように」と考えて、あれこれ知恵を出し合っています。
四角いお膳のひとつひとつに、すみれの会のみなさんのあたたかい気持ちが、ぎゅうっと詰まっているのです。
すみれの会の数人の方にお話をききました。
・池羽さん、森山さん
「ここでお料理をつくるようになってから、15年になります。きれいなお弁当ができあがって、それを運んでいって、ふたをあけたみなさんから『わあーっ!』と歓声があがったときが、うれしいですね」
・森山さん
「家庭だけではなくて、社会とのつながりがもてるんですよね」
・野添さん
「楽しいです。家庭ではつくらないようなものもあったり、自分のやり方とちがう料理のしかたを見て、“目からウロコ”だったり」
・川合さん(男性)
「1年前のボランティア入門講座で、すみれの会を知りました。料理することを好きになろうと思って、やっています。もりつけや切ることは上手なんですけどね。」
このお弁当は、1つ400円。すみれの会のみなさんも、各自400円払って食べています。
私も、和室に集まった高齢者のみなさんの仲間に入れてもらい、このお膳をいただきました。
お膳のふたをあけて、「おいしそうねー」「ほんと!」と私と同じテーブルのみなさん。中に入っている料理のこと、自宅でつくっている野菜のこと、友だちのことなどをおしゃべりしながら、食事を味わっています。そして、「毎回、てづくりのおいしいものをいただいて、感謝してますよ」という言葉も。
この昼食会が、高齢者のみなさんにとって、大切な地域での交流の場のひとつであり、楽しみになっているのを感じました。
味のバランスのとれた、見た目もきれいなおいしい昼食。ふつうなら400円では食べられない内容でした。お膳の脇にある献立カードも、メンバーがパソコンでつくったもの。各テーブルには、かわいらしい花も生けられていました。
昼食後には、毎回催しものも用意していて、音楽をボランティアで演奏しに来る方もいるそうです。この日は、おひなさまづくりをするとのことでした。
すみれの会では、一緒に料理をつくって、高齢者のみなさんとお話しする仲間を募集しています。活動は、原則月2回です。
川合さんのほかに、和室で高齢者のみなさんを迎えたり、お話ししたりしていたのが、もうひとりの男性メンバー。男性も大歓迎です。
「若い方も、ここにきたら、いろいろと勉強できて料理の腕がみがけますよ」「和気あいあいで、楽しいですよ」とメンバーのみなさん。
調理場では、てきぱきと手際よく作業が流れていましたが、たしかに和気あいあい。
すみれの会には、この日のお膳のように、こころなごむ雰囲気がありました。

【この日の献立
かじきまぐろの南蛮焼、揚げ出し豆腐のキノコあんかけ、
キャベツとツナのサラダ、さつま芋のきんとん、ひじきの煮物、
黒豆、豚汁、さくらご飯、漬物、果物(りんご)】
すみれの会
代表 鯨岡恵美子(くじらおかえみこ)さん
問い合わせ先
逗子市社会福祉協議会・ボランティアセンター
TEL 046−873−8037
(成相陽子)