pagetop

リポーターブログトップ > 記事詳細

観客のこころに残る思いを演じる、即興劇  「プレイバックシアター」

2008-04-03 14:11:36

プレイバックシアター
「プレイバックシアター」は、観客のひとりが自分のこころに残る体験や思いを語り、それをアクター(役者)がその場で再現する即興劇です。
さまざまな場や幅広いテーマで活動を続ける「プレイバッカーズ」の自主公演Vol.16を観にいきました。

3305.gif
写真の上でクリックすると、
拡大画像がご覧になれます。
写真は2枚が隣り合って
います。

プレイバッカーズの公演
横浜・山下町の「人形の家」4階にある、「あかいくつ劇場」。
ステージ中央には、5脚の椅子。上手(右側)にピアノ、下手(左側)には長いスカーフのような色とりどりの布10数枚。いたってシンプルな舞台です。
観客は、20代から70代ぐらい。意外に幅広い年齢層だな、と思っていると、ピアノの音色とともに白いシャツに黒パンツ姿の5人のアクターが一列になって登場。うち1人が女性です。
きょう、ここに来るまでに自分に起こったできごとや思いを、5人がひとりづつ短く語って、演じます。

その後、コンダクター(司会進行、話を聞き出す人)の女性が現われ、「ここにいらっしゃるまでの、きょうのできごとなど、何か話してくださいませんか」と私たち観客に呼びかけ、客席のあいだをゆっくり歩いていきます。無理に話すようすすめられることはなく、声をかけられたとしても、断ってもいいのです。が、この日は、ひとり、またひとりと観客みずから手を挙げて話し始めました。
たとえば、「自宅に鳩が巣をつくった。初めはうれしかったけれど、いまは迷惑に思っている」という女性の話。
ピアノのシンプルな音を合図に、アクターが鳩や語った女性になりきり芝居をしていきます。
その後も、数人の観客が自分の体験などを短く語り、プレイバッカーズが即興で演じました。

観客たちは、何の打ち合わせもなく、その場で生み出される絶妙な台詞やパフォーマンスに驚き、見入り、共感し、笑う。そうこうしていると、知らない人たちが集まっているこの大きな一室の雰囲気がなごんでくるのがわかります。
これまでプレイバックシアターを観たことがなくても、『こういう感じで進んでいくんだな』、『どうやらここは自分の気持ちを安心して語れる場らしい』と思える雰囲気が、この場にいる全員によってつくられていく、ゆるやかにみんなの気持ちがつながっていくような感覚なのです。

3302.gif
そして、いよいよ本格的なプレイバックシアターの始まりです。今回のテーマは“おもいやり”。おもいやりにつながるような自分の体験、こころに残ることなどを、観客のひとりがテラーとなって語り、配役もテラーが選びます。

3301.gif

30歳前後ぐらいの女性が舞台の下手にあがり、コンダクターの横に座ってお母さんのことを語りました。小学生のとき、その女性は入院。母はふだん仕事で忙しい人だったが、自分が入院しているときは仕事を休んで付き添い、やさしくしてくれた。子どもだったのでカプセルの薬を服用したことがなく、飲むのをいやがったら、「飲まなくてはよくならないのよ」とひどくしかられた。結局飲めるようになった。また母は「サザエさん」が好きで、まんがを持ってきてくれた。自分はそんな古くさいまんがはいやだと思ったが、読み出すととてもおもしろくなった。
いまでも、“カプセルの薬”を見たり、“サザエさん”という言葉をきくと、あのときのやさしかった母をなつかしく思い出す。
そんな内容でした。

3304.gif

アクターは、何よりもまず、テラーの話をほんとうによく聴いていなければ、演じることはできないでしょう。そして、短時間にその場で決められた役になりきり、ほかのアクターと会話しながら演技をするには、相当の鍛錬とチームワークが必要にちがいありません。
女性の語った子どものころの自分と母の思い出・・・即興で演じられると、うすっぺらくなりそうな気がするのに、アクターにはテラーの語った登場人物の魂みたいなものが瞬時に乗り移ってくるのでしょうか。とても自然に演じて観客を引き込んでいきます。
気づくと、あちらこちらで涙をそっとぬぐっている人たちが。テラーの女性も、ときにほほえみ、涙をふきながら芝居を見ています。
いつのまにか私のこころにも、アクターの語る言葉がじーんとしみこんできました。
ほかに3人がテラーとなって、おばあちゃんとの思い出、学生時代の友人のこと、仕事での悩みについて語り、アクターが演じました。

プレイバックシアターでは、コンダクターも重要な役割を果たしているといえます。コンダクターが、テラーのほんとうに語りたい思いは何なのかを、さりげない感じの問いかけで焦点化していきます。それはまるで、カウンセリングのワークで参加者自身に気づきを促す、ファシリテーターのよう。クライエントに向き合うカウンセラーのようでもあります。

時折、ピアノやトライアングルのような小さな楽器の音が入りますが、それもかなりシンプル。シンプルなだけ自分の思いをふくらませることのできる、豊かな余韻があるのです。
舞台下手にあった10数枚の色鮮やかな布は、あるときは“はさみ”となって相手に手渡そうとされたり、あるときは相手にぶつける自分のさまざまな感情となって、宙を舞っていました。

「みんなが自分の気持ちを出していい。誰も批判されることはない。このひととき、みんなでゆるやかにこころつながって、さまざまな思いをともに分かち合いましょう」
この日の公演は、そんなあたたかなメッセージをプレゼントしてくれたような、こころいやされる時間になりました。

公演のあとには、希望者がプレイバッカーズのみなさんと語り合うことのできる懇親会も予定されていました。
次回の「あかいくつ劇場」での自主公演は9月ですが、それまでにもワークショップや公演が予定されています。
また、11月に沖縄で行なわれる[世代を超えて−「平和・戦争を語り合う」〜子ども・おじい・おばあの話が即興劇に〜]は、もう少し近ければ、私もぜひ観にいきたい公演です。
どんな人たちが、どんなできごとや思いを語り、それをプレイバッカーズはどのように演じるのでしょう。

*********************************************************
ニューフェイス募集(ミュージシャン、アクター)
プレイバッカーズでは、プロの演劇人をめざす人、社会的な活動としてプレイバックシアターを楽しめる人を募集中。
「もしも、『自分かもしれない』という心当たりや確信が頭のどこかをよぎったら、迷わずご連絡ください」とのことです。演劇の経験不問。
いつか、あなたもこの舞台に立って輝いているかもしれません。
中学生のとき、必修クラブで演劇を選んだ私。厚かましくも、ほんの一瞬、血が騒いでしまいました。
詳細はHPをご覧ください。

3306.gif


プレイバッカーズ
http://www.playback-az.com/pz/index.html
代表 宗像 佳代さん

*すべての写真は、許可をいただいて「プレイバッカーズ」のホームページより引用しています。

(成相陽子)

この記事のURLコメント(6)トラックバック(0)

http://secondleague.net/user/013/013/cwtb.cgi/1296

Posted by 成相陽子 at 2008-04-08 07:33:18

べさん、ご連絡いただきまして、ありがとうございました。

Posted by 藤得 顕 at 2008-04-07 20:35:01

ようこさんありがとうございます。
記事を紹介させていただきます。

Posted by 成相陽子 at 2008-04-07 08:38:11

べさん、コメントをありがとうございます。公演では、即興でアクターの方々が自然に演じていらしたことに驚き、さまざまな場面で感動し、日々の生活でのこころのコリをほぐしてもらったような気がします。
記事の件、恐縮です。私個人のつたない感想ですが、よろしかったらご紹介くださいませ。

Posted by 藤得 顕 at 2008-04-06 20:54:11

プレイバッカ―ズ藤得(べ)です。
記事を読ませていただきました。
なんだか感謝感激です。
こんなにも気持のこもった文章で自主公演の記事を書いていただいて、
本当に嬉しいです。
実は、私はミクシィーでプレイバッカ―ズの広報担当をしています。
すばらしいので、
この記事をぜひ紹介させていただきたいのですが、
いかがでしょうか。

Posted by 成相陽子 at 2008-04-03 22:29:27

宗像さん、コメントくださってありがとうございます。とてもうれしかったです。公演にうかがってから数日たちましたが、いまもさまざまな場面が深く心に残っています。9月には、ぜひまた初めてのみなさんがたくさんいらして、プレイバックシアターの魅力にふれていただきたいと思っています。

Posted by Kayo at 2008-04-03 21:26:27

プレイバッカーズ宗像です。素敵な記事をありがとうございます。初めて会場にいらしたお客様がどのように感じられるのか、どのように心を動かされるのか、教えていただいて、とても嬉しく、また参考になりました。
「百聞は一見にしかず」とは、まさにこのこと。
皆様、9月28日(日)14時半から、横浜山下町の人形の家にてプレイバックシアター体験をなさってください。お待ちしております。

名前
メール
URL
コメント

▲このページの上へ戻る