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講演「苦しむ人を支える援助〜ホスピスから学ぶ対人援助〜」

2008-05-25 05:28:32

横浜市立大学で4月に行なわれた、「看護の日特別講演」に行ってきました。
めぐみ在宅クリニック(在宅療養支援診療所)院長の小澤竹俊さんによる、『苦しむ人を支える援助〜ホスピスから学ぶ対人援助〜』です。

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小澤さんは、救急救命センター、農村医療に従事したあと、横浜甦生病院内科・ホスピスに勤務し、現在はめぐみ在宅クリニックでいのちの限られた患者さんと向き合っています。今年になってからはこれまでに37人を看取ったそうです。そして次のように語りました。
−− 治らない病気になって苦しんでいる人の気持ちを、私たちはほんとうに理解することができるのでしょうか。
ある程度は理解することができるかもしれない。しかし、しょせん私たちは元気なんです。だからどんなに頑張っても、ほんとうの意味で苦しんでいる人を理解することはできません。
でも、私たちを「理解者だ」と思ってもらうことはできるかもしれません。
理解するよりも「“理解者”になること」、「“わかってくれる人”になること」はできる。たったひとりでも、そういう人がいてくれればいいんです。

では患者さんからみて、どんな人が自分の苦しみをわかってくれる理解者なんでしょうか。
それは、丁寧に耳を傾けて、話を聴いてくれる人です。これは簡単なようでむずかしい。励ますのではなく、聴く。逃げないで、丁寧に聴くことです。 −−


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そして、病気の人も含めた“苦しむ人”を支えることについて、

−− 私を含めたここにいるみなさん誰もが、多少なりとも苦しみを抱えて生きていると思います。でも、支えとなる関係−それは人、犬、自然、信仰など人によってさまざまですが−があるなら、それがいまを生きようとする力になっているはずです。苦しんでいる人を支えるためには、その人の話を耳を傾けて聴いて、苦しいときに苦しいと言える関係を築くことです。 −−

講演後には、質疑応答の時間がありました。
「ホスピスに傾聴ボランティアに行っていますが、断られることが多いんです。どうやったら、話をしてもらえるようになりますか」という人には、「『ありがとうございます。また何か話したいと思われたら、お話しください』と言って帰りましょう。そして、暇そうな雰囲気をかもし出しているといいですね。スタッフにも、暇そうな人だと周知されるといい。それに、気安く断られることも大事。患者さんが断ることができるような人でいることも大事なんですよ。医師には断れないですから」と小澤さん。
  若い女性の看護師さんは、
「私は以前、入院している患者さんに『私、死ぬんですか』ときかれ、怖くなって病室を出て行ってしまいました。何て答えていいのか、わかりませんでした。でも、きょうのお話を聴いて、申し訳ないことをしてしまった、これからは逃げないで患者さんのお話をしっかり聴くようにしようと思いました」と語りました。
「勇気をもってご発言くださって、ありがとうございます」と小澤さんは、その看護師さんの思いをあたたかく受けとめているようでした。


小澤さんの言う「理解者」「わかってくれる人」というのは、「“本気で”自分の気持ちを“わかろうとしてくれる”」人ということではないでしょうか。わかろうとするにはまず、丁寧に相手の話を聴くことが大切だと何となく知っているつもりでいても、実際にはそれは容易なことではなく、たしかについ励ましたり、逃げてしまいたくなるかもしれません。でも、死がすぐそこにあるという重い事実と向き合っている方たちに本気でかかわろうとするならば、とくに聴き方を訓練して身につけることが求められるにちがいありません。
講演のなかで小澤さんは、ホスピスの支援にあたる人材を育てたいと言われました。ホームページを見ると、めぐみ在宅クリニックでは「地域緩和ケア研究会」が行なわれています。「なんらかのケアにあたる方を対象」と記載されていましたが、関心のある方は問い合わせてみるといいかもしれません。
以前のブログで少し触れたホスピス医、川越厚さんのクリニックには「ボランティアグループ パリアン」があり、そこでは『在宅ホスピスケア・ボランティア講座』が行なわれているようです。現在は次回の日程は未定ですが、ホスピスのボランティアをしたいと考えている方は、ときどきホームページをチェックなさってみてはいかがでしょう。(→5月30日にHPで改めて確認してみると、次回の講座日程が決定していました。ただ、定員がありますのでお気をつけください

小澤さんは、「いつの日にか、日本のどこにいても、どんな病気であったとしても、安心して人生の最期を迎えることのできる社会がくることを願っています」と語り、配られたレジュメには「このケアを多職種で連携していくとき、質の高い緩和ケアが、ホスピス病棟や緩和ケアチームを有する病院だけではなく、それぞれの地域で提供されることになるでしょう」とありました。

DSC02246.jpg医療関係者だけでなく、そこに住んでいるさまざまな人たちが自分のスキルや持ち味を生かしてチームとなり、自分なりに精一杯生きてきたひとりひとりの大切な人生の最期に寄り添う・・・。それは厳しくもあるけれど、きっとやりがいのあることなのではないでしょうか。
幅広い年代の参加者が熱心に話に聴き入る様子に、ホスピスに関心のある人は少なくないのだと実感した講演でした。
いつの日か、どこかの地域のチームのメンバーになれるよう、私も自主トレ(=自分の学び)を続けていこうと思います。

                          (成相陽子)

この記事のURLコメント(2)

Posted by 成相陽子 at 2008-05-30 19:49:19

corimoさん、 コメントありがとうございます。胸が熱くなりました。少しでもお役に立つことができたなら、これほどうれしいことはありません。
どうぞお仕事での経験やcorimoさんならではの魅力を生かして、患者さんやご家族の気持ちに寄り添って差し上げてください。私もいつかホスピスに関われたらと思っていますので、とても励まされました。

Posted by corimo at 2008-05-30 01:03:31

ホスピスのボランティアを探していたところこちらのブログに出会いました。
将来なんらかの終末期医療に関わりたいと思っています。(現在は民間で働く栄養士です。)
人生の最後を慣れ親しんだお家で過ごせるなら幸せだろうと思いますが、それを叶えるのはとても難しいのが現状なのではないかと感じています。でも少しのお手伝いがあることでそれが叶うのなら是非ともお手伝いさせて頂きたいと思っています。
まだホスピスボランティアの講習会も受けておりませんので、教えて頂いたバリアンの講習会に申し込もうと思っています。
貴重な情報をありがとうございました。
これからも拝見させて頂きます。

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