ふたりが1台のピアノで演奏する、連弾をお聴きになったことはありますか?
「のんびる」6月号の取材で、『連弾ネット』を知りました。
連弾ネットは、副代表の田中由美子さんの夫の故田中一実さんが収集してきた貴重な連弾の楽譜を保存し、連弾の魅力を探求・発信するために、夫妻の仲間たちによって設立されたNPOです。
「相手の存在を認めながら、自分の主張もしていくのが連弾です。そのバランスを追求する演奏が、連弾の魅力のひとつですね。それに、見ていると、弾いているふたりの関係がよくわかっておもしろいんですよ。何気ない日常の一部分がピアノに置き換えられているんです」と代表の豊岡さん。
ご主人が連弾の研究者として大切に集めてきた楽譜から始まった連弾ネットの活動を「どんどん広げて、連弾の楽しさをみなさんに知っていただきたいです」と田中さん。

【田中由美子さん(左)と代表の豊岡正幸さん】
連弾ネットでは5月から3回シリーズで、連弾の演奏と公開講座を行っています。
このシリーズでは、今年で没後180年になるシューベルトの連弾曲を取り上げます。
シューベルトというと、「冬の旅」「美しき水車小屋の娘」などの歌曲のイメージで、「アヴェ・マリア」「野ばら」「菩提樹」といった曲はよく知られていますね。
ですが、実はシューベルトは生涯にわたって連弾曲を書き続け、その後も彼以上にすぐれた連弾曲を書いた作曲家はいないそうです。
生の連弾を聴いてみたくなって、今回のシリーズの第1回目に出かけました。

【会場は東京・銀座のヤマハ(仮店舗)】
講師は連弾研究の第一人者、茨城女子短期大学教授の松永晴紀さん。
テーマは「1828年のシューベルトの連弾曲」。1828年に亡くなったシューベルトですが、その年に傑作といわれる曲をたくさん書いているそうです。

【松永晴紀さん】
演奏は「Duo T&M」。連弾ネット代表の豊岡さんと奥様の智子さんによるデュオです。
会場はこじんまりとしているので、ピアノと観客が近く、ぜいたくな雰囲気です。
演奏された曲は「幻想曲ヘ短調」「人生の嵐」「ロンド イ長調」。
時間的に1曲すべてを演奏することはできませんが、とくに魅力的な部分を演奏し、松永さんが解説したり、豊岡さんご夫妻が演奏のしかたなどについてざっくばらんに語りながら、進んでいきます。
そのうちに「のんびる」の取材時に、豊岡さんが「(連弾の演奏を)見ていると、弾いているふたりの関係がよくわかっておもしろいんですよ」と言われていたのを思い出しました。
たしかに。前向きでしっかりした奥様と、奥様に合わせていく、やさしくかわいいご主人、という風に見えました。果たして、真実は?
そしてとても真面目な印象の松永さんですが、「きっとシューベルトは恥ずかしくなって、その場から逃げ出したんじゃないかと思うんですね」などと、時折楽しいエピソードも交えて語ります。
この日の観客は物静かな方が多かったのかなー。声を出して笑っていたのは、副代表の田中さんと私ぐらいだったような・・・。
かくいう私も、果たして笑っていいものかと周りをちょっぴり気にしていたのですが、田中さんの気取らないおおらかな笑い声を聞いて、安心して一緒に笑ったというのがほんとのところでありました。
連弾の「ロンド イ長調」が、シューベルトの生涯最後の作品。
「いま弾いていただいたところは、シューベルトが『さようなら』と手を振って、この世に別れを告げているかのようですね」と松永さん。
ほんとうに私にもそう聞こえました。
シューベルトは31歳という若さで亡くなっているんですね。
子どものころ少しピアノを習っていたぐらいの私には、正直やや難しい内容ではありました。楽譜持参で、熱心に聴き入っていた方たちもあったので、どちらかというと本格的な講座のように思います。
ですから、連弾を勉強している方、ピアノが好きな方、音楽にくわしい方には、きっととても有意義な時間になりそうです。
でももちろん、ちょっと連弾を聴いてみたいなあと思った方も参加しやすい雰囲気ですので、ご安心ください。
プロフェッショナルの連弾やトークをすぐ近くで聴けるというのは、なかなかないチャンスです。
2回目の講座には、7月17日に東京オペラシティ・リサイタルホールでリサイタルを開く、ドイツ在住の瀬尾久仁&加藤真一郎ピアノ・デュオが登場します。
3回目は、公募によるデュオに演奏してもらう予定です。
この機会に、連弾の魅力にふれてみてはいかがでしょう。
「松永晴紀シューベルト連弾曲公開講座」
第2回 7月3日(木)
第3回 9月25日(木) 出演するデュオの募集開始は7月中旬予定
時間 11:00〜12:30
場所 ヤマハ銀座店(仮店舗)6Fサロン
参加費 一般3,000円(連弾ネット会員2,500円)
申し込み・問い合わせ 連弾ネット TEL 050−3428−3499
特定非営利活動法人 連弾ネット
http://www.rendan.net/
代表 豊岡正幸さん
メール inquiry@rendan.net
TEL 050−3428−3499
(成相陽子)