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電話相談ボランティアの話

2008-09-01 01:12:58


きょうは、かつて8年間(といっても、月に数回の担当ですが)電話相談員をしていたときをふりかえって、電話相談ボランティアのことをお話しさせていただこうと思います。


電話をかけてこられた方にどう対応したのかという具体的な内容については、ご存じのように守秘義務のためふれることはできませんが、自分ができていなかったことを反省しつつ、電話相談員に必要なのではと思うことをいくつか書いてみます。
僭越ですが、電話相談に関心をお持ちの方の何かの参考にしていただけたら幸いです。


一口に電話相談といっても、人間関係・病気・仕事・生きづらさといった悩みなどのこころに関する相談、消費生活問題相談、法律相談、医療相談ほかさまざまですが、ここではこころに関する相談の場合としてご理解ください。


人の話を真剣に聴けること
話すよりも、まず聴くことが大切です。真剣に聴いてくれたと思うと、かけてきた方はそれだけでずいぶん気持ちが落ち着き、楽になることもあります。
人の話をじっくり聴くのが好きな方、よく人から話を聴いてほしいと言われる方は、電話相談員に向いているかもしれません。


自分自身を知り、受け入れていること
自分の性格や考え方のくせなどを知り、長所や短所と思われるところどちらも受け入れていること。
たとえば、こういう内容の話だと冷静になれない、自分が揺さぶられてしまう、と知って認めておくと、そういう電話があったときには、気持ちを落ち着けようと努めながら聴くことができると思います。例として、相談員は通常はリポーターの仕事をしているとします。「リポーターの仕事をしている友だちがいるんだけど、性格が悪くて頭にくる」という電話があったとして、それを聴いて冷静でいられなかったら、『私は自分の仕事にかかわる否定的な話は、冷静に聴けないかもしれないな』と意識しておくということです。


自分の枠組みにとらわれず、相手の気持ちに共感・理解しようと努める
仮に「学校をやめたいと思って悩んでいる」という電話があったとします。「学校をやめる」ことを、『そういうこともあるだろう』と考える方と、『自分には受け入れられない』と考える方がいらっしゃるでしょう。もし自分には受け入れられないと考える相談員がいても、その考えを変えなければならないというのではありません。
「学校はやめないほうがいい(続けるべきだ)」という日ごろの自分の価値観や考え方はとりあえずどこかに置いておき、まず学校をやめたくて悩んでいる相手の話を聴いて、その気持ちに共感して寄り添おうということなのです。


暗い話、否定的な話を避けずに聴くことができること
「こんなうれしいことがあったので、聴いてほしい」「すてきな夫との思い出を聴いてください」という電話を受けたこともあります。いまでも内容をよく覚えている、私のこころに残る電話です。
ですが多くは悩んでいる人からの電話です。前向きでない話を時間をかけて聴くことは、体力、気力がいりますが、これが相談員の役割です。
安易に励ましてしまうことなく、まず話を聴くことが求められます。


始める(応募する)時点で、自分自身が重い悩みを抱えていたり、精神的に不安定でないこと
心配ごとや悩みは誰にもあると思いますが、精神的にかなり不安定な場合は電話を受けることが気持ちの負担になってしまいます。そんなときは自分のことを大切にする時期だと考え、無理をしないでください。


気分転換できること
ほんとうにさまざまな内容、さまざまな人からの電話がかかってきます。深夜の担当のとき唐突にびっくりするような攻撃的なことを言われたときには、窓の外も暗いせいかさすがに参りました。そういうことを言わざるをえないその人の気持ちは頭では理解できても、感情としてはやはりショックです。
こういう気持ちをひきずらないよう、趣味や友だちとのおしゃべり(といっても、もちろん電話内容のことは話しません)など気持ちを切り替える手段をもっていることが、相談員自身のこころを守ることになるように思います。


そして忘れずお伝えしたいことは、もしも電話相談員に応募して認定されなかったとしても、それは自分を否定されたわけではないということです。
電話相談には求められる相談員の性質のようなものがあり、それはどのような内容の電話相談かによっても異なってくるでしょう。認定されなかったというのはたしかに一時的にはつらいかもしれませんが、ほかに自分らしさを発揮できる場所があるということだと思います。


私の友人にも、ボランティアの電話相談員に応募し研修を受け、最終的に認定されなかった人がいます。が現在彼女はあるカウンセリング関連団体のスタッフとして無料電話相談も担当し、「電話相談員の研修は、いまに役立っていると思うのよ」といきいきしています。


電話相談員ってたいへんなことばっかりなの?と思われたかもしれませんが、そんなことはありません。でなければ何年も続けることはできなかったでしょう。
直接お会いしたことのない方たちと話すわけですが、忘れられないこころの交流がいくつもありました。
『みんな、いっしょうけんめいがんばってきて、これからもがんばろうとしてるんだなあ』と励まされたり教えられたり。
すばらしい仲間たちとの出会いもありました。
自分のこれまでをふりかえったとき、電話相談員を経験したことは、たしかに大きな宝になっています。


ほとんどのボランティア電話相談員は、真摯に電話をとっているはずです。聴いてあげる、ではなく「聴かせてもらおう」「いま、このときを一緒にいますよ」という気持ちだと思います。
かかりにくいときもあるのですが、誰かに話を聴いてほしいけれどみじかに見つからないという方は、電話してみるのもいいかもしれません。
そして、電話相談員になろうかなと考えていらっしゃる方、ぜひチャレンジなさってみてください。


(成相陽子)

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