正しいスキンケアが、冬の中高年の肌を守ります
21日は大寒とあって、寒さのほうもこのところひとしおです。外の風はピリピリするほど冷たいのに、家の中は暖房がポカポカ。乾燥して肌がカサカサしたり、寒暖の差にびっくりして、肌が思いっきり敏感になっていませんか?
冬の冷たい風は、とくに私たち中高年の肌には、過酷な影響を与えます。まず肌が乾燥する、表皮下に広がる毛細血管が縮み、血行が悪くなる、洗顔時に刺激を感じるようになる・・・・。そして、肌が硬くなったり、カサカサしたり、赤ら顔になったり、毛穴が目立ったり、赤ポッチが出てきたりします。
原因は、冬の風と室内の暖房が、ダブルパンチで肌を乾燥させるから。乾燥は肌のバリアとなる角質層を縮ませ、硬くします。「バリア機能を保つのが、健康な肌づくりの基本」だということは、
前回、詳しく取り上げましたので、読んでくださいね。
角質層が縮んで硬くなると、肌に隙間ができ、異物が入り込みやすくなります。このため、カサカサするばかりか、過敏な反応を起こしやすくなり、赤ら顔や赤ポッチ、肌のピリピリが起こってくるのです。しかも、肌のバリアが弱くなると、紫外線や汚れ、細菌の進入も容易にし、肌の老化を早めトラブルを引き起こします。
では、こうしたトラブルを防ぐには? 前回の「洗顔」に続いて、スキンケアの専門家、
折出恭子さんと一緒に、基礎化粧品による中高年の冬の正しいスキンケア、考えてみましょう。
スキンケアの基本は保湿と肌の保護です
基礎化粧品は、化粧水と乳液だけでいいと思っていました。でも、いつのころからか、クリームやら、美容液やら、オイルやら、いろんなものが登場してきて・・・・。おまけに、お肌の老化が気になる中高年ともなると、魅力的な宣伝文句や、お店の人の「これ、いいんですよ〜」のオススメに、ますます混乱してきます。「肌の手入れって、本当はどうしたらいいの?」「どの程度の基礎化粧品があればいいの?」「どんな順番でやればいいの?」。みんながもっているそんな疑問、折出さんに聞いてみました。
基礎化粧品の原料の基本は「水」と「保湿剤」と「油(オイル)」。そこに機能性や使い勝手を高めるため、有効成分、乳化剤、防腐剤などが配合されています。
水:いちばん大切な水分補給
これが肌にとってはもっとも必要なものですが、単独では水分は肌にとどまることができません。
保湿剤:水をつかまえて保つ
そこで必要になるのが保湿剤です。たとえば、塩水は乾燥すると塩の結晶が現われますが、砂糖水は乾燥させても、結晶はなかなか現われません。砂糖には水分をつかまえて離さない性質、つまり保湿効果があるのです。この砂糖と同じように、水分をつかまえて離さないのが保湿剤のはたらきです。保湿剤としてよく知られているのは、グリセリン(多価アルコール系保湿剤)、ヒアルロン酸ナトリウム(ムコ多糖質)などですが、保湿剤は有効とされているものだけでも100種類以上あります。
油(エモリエント剤):フタをして水分の蒸発を防止する
油成分は適度に通気性のある膜物質を作ることによって、水分の蒸発をおさえ、皮膚に弾力性、柔軟性、なめらかさを与えます。皮製品の手入れにはミンク油やワックスを使いますよね。でも、手入れしない(特に水に濡れて乾いた)皮はパリパリになり、もろくて裂けやすくなってしまいます。 皮膚が柔軟ということは強度があるということです。
つまり、お手入れは基本的に「水」と「保湿剤」と「油(オイル)」があればいい、ということになります。
肌の手入れの基本。まず化粧水で保湿、次にクリームやオイルで保護します。
■化粧水(ローション)
保湿効果の高い化粧水をたっぷり使いましょう。でも、保湿剤が多く配合されていれば、保湿効果が高いというものでもありません。種類によってはベタつきがあり、不快感が出てしまうものあるため、市販の化粧水は保湿剤を幾種類も配合し、組み合わせることによって相乗効果を出しています。少ない量で効果的に保湿力を高める工夫をしているので、快適に気持ちよく使えるのです。ただし、人によっては肌に合わない保湿剤もあるため、多くの保湿剤の入った化粧水が、ときには肌荒れの原因になることもあります。
化粧水は、手にたっぷり取って、両手で顔を包み込むように。
温かい手で肌を包み込み、じっくり時間をかけて浸透させることで、化粧水がより吸収されます。その際には、2箇所の美容のツボ、目頭と目尻を、薬指(目頭)と人差し指(目尻)で軽く押します。目や口のまわりなど、乾燥しやすい場所や、小鼻の脇なども、指でしっかりとなじませます。重ねづけをすると効果が上がるので、同じことを何度か繰り返します。化粧水はコットンなどによるパッティングよりも、肌にやさしく、自分の肌の状態が確かめられるので、手のひら全体を使うほうがおすすめです。パッティングは毛穴を引き締めるのには効果がありますが、力を入れすぎるとかえって刺激になるので、ご用心。
■乳液、クリーム、オイル
化粧水でおぎなった水分を、フタして閉じ込め、かつ柔軟にするのが目的です。乳液やクリーム、オイルの油成分は、肌の水分の蒸散を防いで保つ働きと、肌を柔軟にする働きがあります。
乳液、クリーム、オイルは、水分と油分の割合が違うだけで、基本的には同じです。違うのは使い勝手。乳液は伸ばしやすいのでボディに最適でしょう。ボディは服によって保護されている部分ですから、手や顔よりは保護力の少ないものでいいのです。
顔に関しては、肌タイプによって使い分ければOK。昔、教わった、化粧水→乳液→クリームの意味は、まったくないそうです。そういえば、拭き取り化粧水→柔軟化粧水→収斂化粧水→乳液→クリーム(昼と夜用)なんてのもありましたが、これも意味がないようです。
乳液は手のひらに取り、油分の少ないところに指でなじませながらつけ、全体につけ終わったら、手のひらで顔全体を包み込みます。化粧水→乳液でかさつきがまだある場合は、乳液をクリームに変えてみましょう。(ただし、洗顔した肌は時間がたつと自然に油脂を分泌するので、油脂の分泌の多い人は、化粧水でしっかりと保湿するだけで十分です)
それでも乾燥を感じる場合にはオイルをなじませます。洗顔後に突っ張りを感じない皮脂分泌の多い人には、化粧水だけで充分です。
今まで、何種類も化粧品を使ってきた人は、「えっ、これだけでいいの?」と思うでしょうね。肌の乾燥は人それぞれで、季節を含む生活環境、年齢、体質などで変わってきます。でも、肌は本来、自分で守る力をもっていますから、それを助けてあげるのがいいスキンケア。大切なのは、そのときどきに応じた適切な手入れです。手入れ不足にならず、かといって過剰にならない手入れが必要ですが、これがなかなかむずかしい。
適切なスキンケアのポイントを、折出さんに聞いてみましょう。
Q 化粧水をつけるのは、洗顔後、すぐのほうがいいのですか? 10分から30分何もつけずに、肌のトレーニングをしたほうがいい、という意見もありますが。
A 洗顔や入浴で角質層に浸透した水分を、少しでも長く肌にとどめるには、すぐに化粧水を補うことが必要です。肌に水分を補ってから肌から水分が逃げるスピード(蒸散量の推移)は水分の接触直後が最大で、その後、急激に落ちてきます。何もつけなければ、5分〜10分の内に水分を補う前と同じになってしまうのです。乾燥肌やトラブル肌であればあるほど、スピードが速く水分の蒸散量が高いものです。水でパリっとさせたレタスは、そのままではしなびてしまいますが、ラップをすればみずみずしさが維持します。肌のそれと同じことなんです。
Q 化粧水にもいろいろあります。肌のタイプによって使い分けは必要ですか?
A 使い分けするのがベターです。新陳代謝が旺盛で、汗や皮脂分泌のいい人と、夏でも汗をかかない人が、同じものをつけるなんて不自然ですよね。乾燥する冬と蒸し暑い梅雨時季に、同じものをつけるのも不自然です。自分の肌をよく観察しながら、肌に合った、つけて気持ちのいい化粧水を使っていただきたいですね。
Q 化粧水の量はどの程度使えばいいのでしょうか。
A 化粧水の種類や肌質との兼ね合いがありますので、一概にこれくらいという量はありません。ベタベタしない程度にたっぷり、という感じでしょうか。
Q 化粧水だけでは、まだ肌がカサカサしています。美容液をつけたほうがいいのでしょうか。
A 美容液は保湿力や有効成分を強化した製品ですので、全体に数滴薄くのばすか、気になる部分にポイント使いするのは効果的でしょう。ただし、敏感肌やトラブル肌には肌負担になることもあります。肌をよく観察しながらお使いください。肌への効果は、有効成分が低濃度のローションをたっぷり使うのと、高濃度の美容液を数滴使うのは同じことだと私は考えています。
Q 肌を保護するには、乳液、クリーム、オイルがあるとのことですが、どれを使ったらいいのですか?
A 何度か触れましたが、乳液、クリーム、オイルは必ず必要だというものではありません。皮脂分泌が多く、洗顔後に突っ張り感など不快感がない場合には必要ありません。乳液、クリームは水成分と油成分の割合の違いだけです。乳液は肌にのばしやすく、油分が少ないので、洗顔後に少しだけ突っ張り感ある人や、ボディに適しています。
クリームやオイルは、乳液だけではまだ突っ張り感がある場合に使います。クリームには界面活性剤や防腐剤が配合されていますので、それに合わないとか気になる方はオイルを使ってください。私は添加物(界面活性剤や防腐剤など)をできるだけつけないようにしていますので、手づくりの化粧水とスクワランオイルだけのケアにしています。
※スクワランオイルはさっぱりとしたオイルで被覆感が少なく、酸化や分解がほとんど無い安定したオイルで、日中でも安心して使えるオイルです。
Q 化粧水、美容液、乳液などを使う場合、次々と重ね付けしていいのですか? それとも、肌にしみこむまで待ったほうがいいのでしょうか。
A 次々と重ね付けしたほうが効果的です。それは化粧水をたっぷりつけて水分補給を充分にし、肌をふやけさせることによって、次の美容液の肌への浸透も促せるからです。また、肌の水分が蒸散する前に油分を補って、フタをするということになります。
Q 血行をよくするために、マッサージをしたほうがいいように思うのですが。
A 血行促進はお肌に栄養をもたらしますので、マッサージはとても有効ですが、誤った方法ではトラブルの原因になることがあります。マッサージをするときにはたっぷりのオイルを使い、手の滑りの摩擦を肌に与えないように優しく行います。冷たい風や暖房による乾燥などでダメージを受けている肌に、不用意にゴシゴシとマッサージすると、角質層の亀裂や隙間を広げ、かゆみを起こし、炎症を起こすこともあります。トラブル肌には蒸しタオルなど、別の方法で血行促進させましょう。
「お茶漬け」療法で、ダメージ肌を生き返らそう。
ところで、私が赤ポッチに悩まされていたころ、折出さんから、こんなアドバイスをもらいました。
「赤ポッチの原因は、“効果のある成分”が多すぎる化粧品をお使いだったからかも知れませんね。荒れた肌には“効果のある成分”は負担になります。できるだけ何もつけないことで、本来の肌の力が回復するというご意見、同感です。お腹をこわしたときに、栄養価の高いステーキやフルコースを食べると、お腹に負担をかけ、ますます悪化します。そういうお腹がお粥で回復するように、ダメージを受けた肌にも“お粥”が必要だと思います」
このときに、折出さんの言う“お粥”として、私が使っていたのが「美肌化粧水」でした。30年前、日焼けがもとで大きなシミをつくってしまったとき、皮膚科の医師に手づくりクリームをもらったのを思い出し、健康雑誌で話題になった
今井達弥医師の手づくりコスメ、「美肌水」をつくって使っていたのです。
美肌化粧水のつくり方は、実に簡単です。
美肌水原液
30 mlのつくり方
材料
グリセリン 小さじ1(5ml)
尿素 小さじ1(2.5g) ※粉なので重量が違います
水 小さじ4 (20 ml )
30ml容器に水を小さじ1杯入れ、尿素を小さじ1杯入れてよく混ぜる。そこにグリセリン小さじ1杯を加え、さらに残りの水を加えて、キャップをしてよく混ぜる。
この原液小さじ1杯に、水小さじ3杯を加えると、「美肌化粧水」が完成。尿素、グリセリンは薬局で「日本薬局方」の製品が手軽に購入できます。尿素は100gで500円程度、グリセリンは100mlで400円程度、水は水道水でもかまいませんが、私は精製水(500mlで100円程度)を使っています。材料費1000円で半年分以上の化粧水が!?
原液はひじやかかとなど、角質化したところに、そのまま使えます。グリセリンには天然の防腐力がありますから、冷蔵庫に保存すれば原液は数ヶ月、美肌化粧水も2〜3週間はまったく大丈夫です。ただし、尿素が肌に合わない人もいますので、まずパッチテストをします。かゆみや刺激を強く感じたら、使用を中止してください。原液は顔には絶対に使用しないように。化粧水として使う場合は、必ず水で薄めてください。
私の場合は、尿素が肌に合ったので、保湿力をもう少し高めるため、
ヒアルロン酸ナトリウム液を6滴ほど入れました。前回、ご紹介したオイル洗顔をしたあと、この化粧水と折出さんオススメのスクワランで「お茶漬け」療法をしたところ、肌のターンオーバーが正常になり、バリア機能が回復したのか、2ヶ月を過ぎたころから、赤ポッチが少しずつ消えてきました。
ポイントは急がないこと。肌のターンオーバーは約1か月周期ですから、それが正常になるまで、いろいろ試さずにじっと我慢します。時間はかかりますが、効果は良好です。肌のダメージに悩んでいる方、試してみませんか?
今の時期、肌の乾燥を防ぐため、外ではマスク、マフラー、タートルネックの着用、家では加湿器の使用も効果的です。加齢とともに肌も年取っていくのは、ある程度仕方ないことですが、正しいスキンケアをしていれば、肌って、それほど年取らないそうですよ。がんばりましょう。
【折出さんのワンポイント・アドバイス】
もともとヒトにはスキンケアに頼らなくても、自分の力で肌を守る機能が備わっています。
ところが、お化粧をしたり、便利な生活と引換えに出現した環境汚染物質が増えてきた結果、余儀なく洗浄が必要になってきました。また、快適な生活に伴い、肌の抵抗力も少なくなってきています。
新陳代謝が旺盛で、自らの力で水分(汗)や油分(皮脂)が充分に補えるのであれば、スキンケア製品は必要ありませんが、とくに中高年のほとんどの方にはスキンケアが必要だと思います。年齢とともにやってくる肌の老化にはあらがえませんが、この老化を少しでも遅らせることができるのが、正しいスキンケアだと言えましょう。
とはいえ、スキンケアに過剰な期待やお手入れは禁物です。気持ちがいい、と感じる正しいスキンケアを丁寧に行い、食生活を健康にして、少しでも若々しい肌を保ちたいものですね。
いかがでしたか? 毎月1回のペースでお届けする「中高年のための健康でキレイな肌づくり」。次回も、私たち中高年向きの正しいスキンケアを考えてみたいと思っています。お楽しみに。
(中澤まゆみ)