日系老画家の人生を通して考える「許し」の意味
生きることに元気が出てくる映画です。昨年の試写のときには、小さな会場で偶然会った友人と「いい映画だったね〜」と、ひとしきり盛り上がりました。
ニューヨークで映画製作をしている吉川マサさんが、日系人のホームレス画家をテーマにしたドキュメンタリー映画を持って一時帰国したのが、昨年の8月。2度の試写が大好評だった映画『
ミリキタニの猫』は、その年の東京国際映画祭で上映され、今年9月に東京で公開となりました。
残念ながら、まだブログがスタート前だったので、このページではご紹介できなかったのですが、東京再上映と全国公開の連絡が、マサさんから入りました。
東京で見逃した方、札幌、仙台、高崎、長野、松本、神戸、高知、大分、佐賀の方、ぜひ、ご覧になってください。バンコク、ジョグジャカルタのインドネシア・ドキュメンタリー映画祭、サンフランシスコでも上映されますので、お知り合いにもご連絡を!
(追記)
2週前にご紹介した12月9日から始まる「韓国映画ショーケース2007」のパネル・ディスカッション(同9日15:00〜)のゲスト・パネラーが決まりました。こちらのほうも面白そうですよ。詳細は11月12日のブログをどうぞ。
<ゲストパネラー>
ムン・ソリ(『家族の誕生(原題)』出演)
キム・ヨンファ(『カンナさん大成功です!』監督)
ノ・ウニ(『カンナさん大成功です!』プロデューサー)
キム・ムリョン(『横綱マドンナ(仮)』プロデューサー)
李鳳宇(シネカノン代表)
司会:李由美

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『ミリキタニの猫』上映に寄せるメッセージ
From 吉川マサ (プロデューサー)
"Make Art Not War" が主人公
ジミー・ミリキタニのモットーです。『ミリキタニの猫』は、当時路上アーティストであった80才の日系人ジミーと、偶然通りかかった
リンダ・ハッテンドーフ(監督)との出会いから始まりました。
この2人のユニークな関係の中でジミーの過去が明らかになっていきます。その過程でさまざまな問題が描かれています。その中の一つ、
第二次世界大戦中の
日系人強制収容所については、アメリカでも、日本でも多くの人が知りません。歴史の中には語り継がれなければならないのに、広く語られていない事実はたくさんあります。
そして「過去」ことだと思っていた問題は、
9・11の世界貿易センター同時多発テロ事件によって、現実性をもって私たちの目の前に現れてくるのでした。
このように書くとカタイ内容をイメージするかも知れませんが、ジミーのおちゃめなキャラクター、かわいいジミーの絵、そして登場する猫によって、この映画はエンタテイメントとしても成立しています。中学生以上ならば十分理解できて「楽しめる」映画です。
それぞれの世代で受け止め方は違ってくるでしょう。それがこの映画の魅力の一つでもあるでしょう。そしていろいろなディスカッションのきっかけになってくれればとも思います。
本作品は2006年春、ニューヨークのトライベッカ映画祭でワールドプレミア上映が行われ、観客賞を受賞しました。同年秋の東京国際映画祭「日本映画・ある視点」部門では最優秀作品賞を受賞。その他各地の映画祭で数々の賞を受賞しました。
アメリカでは今年3月から全米約20都市で劇場公開されました。日本では9月から各地で公開中です。多くの皆さんに見ていただけることを願っています。そしてこの映画、あるいは主人公ジミーの生き様に共感を、そしこの作品が扱ったさまざまな問題に関心を持っていただければ嬉しいです。
ピース(Peace!)
吉川マサ
『ミリキタニの猫』の上映スケジュール
【札幌】シアター・キノ
1月1日(元旦)〜18日
【仙台】
桜井薬局セントラルホール
12月1日〜7日 (1週間のみ!)
連日 11:00、12:30、14:30、17:00、18:30
【高崎】シネマテークたかさき
12月8日〜14日 10:30、14:20、15:55
12月15日〜21日 18:10
【松本】
松本市民藝館小ホール 1月11日
【長野】ロキシー
1月26日〜2月1日
【東京】
アップリンクX(渋谷)
12月8日から 連日13:00 (1日1回)
パルテノン多摩 1月19日
【神戸】
神戸アートビレッジセンター
12月7日〜10日 17:00、18:30
12月12日・13日 12:20、17:00
【高知】
あたご劇場 1月9日〜1月22日
【大分】
大分シネマ5
12月15日〜1月11日
【佐賀】
シアターシエア 1月26日〜2月8日
■
バンコク(タイ)
国際交流基金バンコク日本文化センター(アソーク通り、サミットタワー)
入場無料
12月14日 18:30
12月15日 15:00
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サンフランシスコ (SAN FRANCISCO)
SUNDANCE CINEMAS KABUKI
12月11日 A Celebration of Japantown
Write smori@kimochi-inc.org for info
■
ジョグジャカルタ(インドネシア)
ドキュメンタリー映画祭
12月10日〜15日
日系アメリカ人の歴史に加え、アメリカの民間団体の活動も
とにかく、ジミー・ミリキタニという老画家のキャラクターが魅力的です。頑固だけど不思議に明るい、やんちゃなじいさんで、おおいに笑わせては、ジーンと胸を熱くしてくれます。
以前、ホームレスの取材と支援をしていたことがありますが、野宿を1年以上続けていると、精神に何らかの異常をきたしてくる人が多くなるものです。ところが、ジミーは10年間もホームレスをやっているのに、晴れ晴れとした原色を使って絵を描き続けています。その突き抜けた色使いと、ダイナミックなタッチにまず感動しました。
映画を見ていると、彼がもともと墨絵と西洋画の融合を図ろうとした画家で、
ジャクソン・ポロックの釣り仲間だった、というようなこともだんだんわかってくるのですが、「自分はアーティスト」だという自尊心を失わなかったことが、彼を支えてきたように思います。
「偶然の積み重ね」は、ときとして素晴らしいドキュメンタリーを生み出します。この映画もジミーとリンダが出会い、リンダが彼を援助するなかで、ビデオを回し続けたことで出来上がったと聞きました。そうした出会いの不思議と力強さを感じさせる作品です。
ニューヨークに住むマサさんも、監督のリンダと知り合いだったわけではなく、とあるフィルム上映会に行ったとき、たまたま同じエレベーターに乗り合わせた彼女から、日系人の画家をビデオに撮っているが、「日本語がわからないのでちょっと翻訳してほしい」と頼まれたのが、この映画に関わるようになったきっかけだとか。出会いというのは、本当におもしろいものですね。
日系人の歴史などほとんど知らなかった白人女性のリンダ。その彼女が、ジミーというホームレス画家の強烈なキャラクターに興味をもったのがきっかけで、彼をさまざまな形で援助しながら、ジミーが背負っている歴史を探る旅を始める・・・・。そうした行動と彼女の視点がこの映画を新鮮なものにしています。
リンダといっしょにジミーの市民権復活と生活の自立を手助けする、ホームレス・高齢者の自立支援民間団体の活動ぶりも、市民活動に関心を持つ人には興味深いかもしれません。アメリカでは政府のセーフネットはほとんどありませんが、そのかわり、市民団体の活動がとても活発です。そんなところにも、個人的にはおおいに刺激されました。
(中澤まゆみ)

『
ピース・キャッツ』(ランダムハウス講談社刊)。40点以上のジミー・ミリキタニの絵と言葉、人生が綴られています。