LGBTをはじめとする性的マイノリティ(少数者)1 万人のポートレート撮影をめざす「OUT IN JAPAN」の会場。
(写真提供/認定NPO 法人グッド・エイジング・エールズ)
「差別」と「人権」を考える第3回
「私」を生きる|性の多様性を受け入れる社会へ
自分らしく、ありのままに生きる─―。
日本で暮らす性的マイノリティの人たちにとっては、
そんな自然な生き方も、実際にはむずかしいのが現状です。
差別解消のための法律がなく、同性カップルには、
異性カップルと同等の法的な権利も保障されていません。
性の多様性を受け入れる社会を求める声は切実です。
10年で変わった「LGBT」への意識
ここ数年、「LGBT」という言葉を耳にすることが多くなりました。
レズビアン=L、ゲイ=Gなど、いわゆる「性的マイノリティ」の人たちを表す言葉の一つです。
「実際に、この10年で社会の理解は相当に広がったと思います」。
LGBTと社会をつなぐ場づくりなどを進める
認定NPO法人「グッド・エイジング・エールズ」代表の松中権さんはそう振り返ります。
「10年前は、LGBTという言葉もまったく知られていなかったし、
『自分はゲイだ』などとカミングアウトしている人は周囲にもほとんどいませんでした。
一部の国であるように、性的マイノリティだからといって、
面と向かって差別的な言葉を投げつけられたり、暴力をふるわれたりする可能性は少ないかもしれない。
その一方で、同質性が重要視され、「こうあるべき」という規範意識の強い日本社会。
「本当の自分を隠していたほうがリスクがない」と、
あきらめのような空気があったといいます。
会社の研修制度を利用してニューヨークの会社で働いたのを機に、
NPOを設立し、活動を始めたのは2010年のこと。
「悲観的な話ばかりしていた」そのころから、社会の空気は少しずつ変わってきました。
「少なくとも、LGBTなどと呼ばれる人たちがいるということ、
その人たちがいろんなことで困っているらしいということは、
かなり広く知られるようになったと感じます」と松中さんは言います。
松中権(まつなか・ごん)さん
株式会社電通の在職中にカミングアウトし、LGBTの活動に専念するため2017年に同社を退職。
代表を務めるNPO法人グッド・エイジング・エールズは、
セクシュアリティに関係なくすべての人が自分らしく歳を重ねていける社会づくりを応援する。
著書に『LGBT初級講座 まずは、ゲイの友だちをつくりなさい』(講談社)。
日本の法整備は後れている
一方で、ほとんど変わってこなかった面もあります。
それが、その「困っていること」を解決するはずの法律・制度面の整備です。
レズビアンであることを公表し、一般社団法人LGBT政策情報センター代表理事も務める衆議院議員、
尾辻かな子さんに説明してもらいました。
尾辻かな子(おつじ・かなこ)さん
2013年参議院議員に当選し、日本初の同性愛者であることを公表した国会議員となる。
2017年から衆議院議員(立憲民主党)。
政策提言を進める一般社団法人LGBT政策情報センターの代表理事。
著書に『カミングアウト―自分らしさを見つける旅』(講談社)。
絵本『タンタンタンゴはパパふたり』(ポット出版)を本誌編集長の前田和男と共訳。
・・・続きはのんびる 1・2月号 にて
この記事は、1・2月号特集でご紹介しています。
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