グリーンケア班の皆さんと。左側に新井さん。
撮影/堂本ひまり
農業と福祉が連携した地域づくりや雇用の創出など、
「農福連携」の取り組みが各地で始まっています。
農福連携ではなく、農福一帯のかたちで地域に根づき、
「ソーシャルファーム」(※1)を実践する産地を訪ねました。
畑につどい、月日を重ねて
埼玉福興株式会社(埼玉県熊谷市)
<「グリーンケア班」の午後 >
利根川沿いに肥沃な地の広がる熊谷市妻沼地区。
夏は暑く、冬は「赤城おろし」と呼ばれる風が吹き込むこの町に、
埼玉福興グループの拠点が点在しています。
5月のある昼下がり。畑で、ひとりの男性が水やりをしていました。
「何を育てているんですか?」。
「ニンジン、二十日大根、枝豆、ひよこ豆、サラダほうれん草……それから、
大豆とトマトと、ナスと、ピーマンと、トウモロコシ!」
誇らしげで、うれしそう。
この畑の管理を任されているのは、知的障がいや発達障がいのある「グリーンケア班」の皆さん。
畑で目をひくのが、渦巻きや無限大のかたちの畝に育った苗。
代表取締役の新井利昌さんが、「藍ですよ」と教えてくれました。
「藍の栽培は、昨年から始めました。収穫は8月です。
ケアファームの位置づけで、藍を『グリーンケア』のアイコンにしたいと考えています。
すぐに成果を求めるのではなく、まずは人のチームづくりからです」
藍の栽培は、藍の名手として活躍する亀田悦子さんとの縁がきっかけ。
藍染の色や柄はよく知られていますが、
「ファッションとしての藍ではなく、藍がもつ効能に着目している」と新井さんは言います。
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(※1)さまざまな事情で就労に困難を抱える人が、
必要なサポートを受け、他の従業員・スタッフと働くことのできる社会的企業。
東京都が「都民の就労の支援に係る施策の推進とソーシャルファームの創設の促進に関する条例」
を設けるなど、各地で取り組みが進む。
藍の畑
撮影/堂本ひまり
この記事は、7・8月号特集でご紹介しています。
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