Antenna Books & Cafe ココシバ
撮影/濱田研吾
川口市では戦後、鋳物工場で多くの在日朝鮮人が働いていました。
その姿は映画『キューポラのある街』で印象的に描かれています。
時代は流れ、今も数多くの外国人が暮らす川口(※1)ですが、
その北の外れに一軒のブックカフェがあります。
キューポラのあった町で
Antenna Books & Cafe ココシバ(埼玉県川口市)
<クルドの刺繍と木彫りの熊>
JR蕨駅から歩いて10分弱、芝地区の「芝銀座通り商店街」に「ココシバ」があります。
店内では、何人かのお客さんが編み物をしていました。
隔週火曜開催の「オヤ教室」です。
「オヤ」はスカーフのまわりを飾るクルドの伝統刺繍で、アクセサリーにしてもおしゃれです。
川口には、およそ2000人のクルド人が暮らしています。
そのほとんどが、同化政策を強いるトルコ政府から逃れた難民申請者です。
しかもその3分の2ほどが「特定活動」という不安定な在留資格で暮らし、
残りの人たちは「仮放免」の立場で在留資格すらありません。
安心していつまで日本で暮らせるのか、
不安な気持ちで暮らす人が多いはずですが、「オヤ教室」は和やかな雰囲気。
「針に糸を通すだけでワクワクする」「イメージがわくよね」とおしゃべりで盛り上がっています。
その様子を眺めていると、「お待たせしましたぁ」と勢いよく店に駆け込む人が。
「ココシバ」の共同経営者で、出版社「ぶなのもり」を主宰する小倉美保さんです。
さっそく質問。店のいたるところに置かれた木彫りの熊はなんですか?
「いっしょに『ココシバ』を経営する吉松文男さんの好みで、お客さんが店に持ってきてくれたものです。
他にも猫の人形やら、ぬいぐるみやら、おもちゃやら、いろいろあるけど、それもみんなそう」
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小倉美穂さん。店の奥に「ぶなのもり」のオフィスがある
撮影/濱田研吾
この記事は、9・10月号特集でご紹介しています。
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