「不登校」はハンディではなく、稀少な価値である。投稿アプリでハレ舞台をつくる(特集:誰も取り残されない?スマホ、SNS、アプリより)

「学校休んだほうがいいよチェックリスト」 
アプリをダウンロードして20の問いに順に答えていくと
画面の提言「休ませましょう」が最後に出てくる。
この相談アプリは不登新聞・株式会社キズキ(キズキ共育塾)・Branchの3社の共同開発で、
国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦さんが監修している。
写真・文/斎藤一九馬 写真提供/全国不登校新聞社
日本で唯一の不登校専門紙『不登校新聞』。
SNSの各種アプリを活用して不登校生のサポートに新しい可能性を見出しています。
とくに、この夏主催したTikTok動画投稿コンテストと
LINE相談アプリが大きな反響を呼んでいます。

「不登校」はハンディではなく、稀少な価値である。
投稿アプリでハレ舞台をつくる
全国不登校新聞社(東京都文京区)

<「第1回不登校生動画選手権」>

今年8月12日、東京現代美術館で行われた
「学校へ行きたくない私から 学校に行きたくない君へ
『第1回不登校生動画選手権』」
という一風変わった動画コンテストが大きな反響を呼びました。
主催は全国不登校新聞社。
代表理事の石井志昂さんに経緯をうかがいました。 
「以前から『不登校』という特性を活かした大会、
高校野球の甲子園大会のような全国規模の大会をやりたいと思っていました。
不登校生たちのためのハレ舞台ですね」  

当然のことですが、
これまで不登校生にはそうした場がまったく用意されなかったと石井さん。
石井さん自身、不登校の経験者です。 
「不登校はハンディではなく、価値に変わる。
少数だからこその価値がある。
その価値を見つけようよ、と不登校生たちに伝え、
社会にも広く訴えたかったのです」  

反響は主催した石井自身さんも驚くほどの大きさでした。
1カ月の応募期間に投稿された動画は352本、
TikTokでの総再生回数は1100万回を超えました。

「募集に際してこだわったことがふたつあります。
ひとつは何度応募してもいいとしたこと。
子どもは一発でいいものをと考えがちですが、
大人の世界では何度もトライ&エラーを繰り返しながら
いいものをつくりあげるのがふつうです。
それをわかってもらいたかった。失敗してもいいんだよと。
それを実際にやったのが最優秀作品賞を受賞した
フリースクール『あうるの森』の作品です」 

あうるの森の動画製作チームはなんと20本も投稿して、
最後の投稿作品が受賞したのだそうです(※1)。

 審査委員を務めた映画監督・三浦淳子さんはこの作品を次のように激賞しています。
「モノクロの学校の映像と対比されて、
浜辺の映像が開放感があって、美しかったです。
最後に仲間にむかって走って行くところでは、
くっきりと砂浜に足跡が残っていて、印象的でした。
これからもこんな映像を撮りに、自然の中に飛び出していってほしいです」。  
製作チームの苦労は十分報われたようです。

「もうひとつは、不登校だった過去を隠している子にも
ぜひ応募してほしいと思ったのです。
優秀賞を受賞した中学生の女子がそうで、
お母さんに黙って投稿したのです」(※2) 

彼女はそれまで小学校時代の不登校を誰にも教えなかったそうで、
入賞したことを喜び、全校集会を開いてもらい報告したのだそうです。
「自分と同じように、誰にも知らせないで悩んでいる子がいるかもしれないから、
その子たちに不登校は価値なんだよということを伝えたかったと彼女は言っていました」。 

作品名は「ハリケモノ」。
「不登校になっていく過程、その先に必要なものはなにか、
必要なものを得られると、どう変わるのか。
その心理描写が端的に的確にまとめられています。
不登校を知るための教科書に載せたい動画でした」
と石井さんが講評するほどの出来栄え。
ぜひ、TikTokでご観賞ください。  

審査委員長を務めたタレントの中川翔子さんは、
「私も不登校で家にいる時間が多かったのですが、
そのあいだに培った特技が今の私に活きていて、
それがみんなに受け入れてもらえることがこんなにも嬉しいことなんだ、
と心から感じることができています」と、応援コメントを寄せています。  

ちなみにあうるの森の皆さんは最優秀賞の賞金10万円を
「修学旅行の費用に使う」とのこと。  
不登校の子どもたちが、なんと修学旅行に行ける。
ほんとうによかったですね~。 

(※1)不登校生動画選手権最優秀作品賞
(※2)優秀作品賞
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