イスラエル人の入植地と分離壁(アパルトヘイト・ウォール)
写真提供/オルター・トレード・ジャパン
オルター・トレード・ジャパン(ATJ)の取り扱う重要な品目のひとつがパレスチナのオリーブオイル。
戦禍の中、産地のヨルダン川西岸地区は今どうなっているのか。
オリーブ農家は無事なのか。収穫はできているのか。暮らしは立っているのか。
ATJの小林さんにパレスチナのオリーブ生産者の現況をうかがいました。
パレスチナ・オリーブはパレスチナ人の誇りと喜び 民衆交易でパレスチナに連帯を オルター・トレード・ジャパン 広報室 小林和夫さん
<パレスチナ・オリーブの生産者を おそう危機>
─パレスチナ、とくにガザ地区では中東の歴史上かつてない大量破壊・ジェノサイドが進行しています。
国連人道問題調整事務所(OCHA)の報告によると、
2月末現在、ガザ北部の2歳未満児の6人に1人が急性栄養失調や消耗症に苦しみ、
2月末現在、ガザ北部の2歳未満児の6人に1人が急性栄養失調や消耗症に苦しみ、
子どもや妊娠中・授乳中の女性の栄養不良も急増していて、
とくに深刻な問題となっています。
電力・燃料も供給停止のため水道施設が機能せず、
食料生産や病気の予防に不可欠な水へのアクセスに大きな影響が出ています。
─オリーブの産地であるヨルダン川西岸地区の状況は、日本ではほとんど報道されません。
パレスチナのオリーブ農家は無事なのでしょうか?
西岸地区の68%は行政も治安もイスラエル側が実権を握るC地区と呼ばれるところで、
イスラエル軍の支配下にあり、オリーブ農家はほとんどこのC地区に集中しています。
C地区の特徴的な光景は、丘の上に建設された、イスラエル人入植者の住む入植地と、
それを取り囲む8メートルの分離壁(アパルトヘイト・ウォール)です。
この2つがパレスチナ農民の暮らしを日々脅かしているのです。
─具体的にどういうことですか?
オリーブの収穫作業は毎年10月から11月に行われます。
とくにこの時期には、毎年イスラエル人入植者によるオリーブ農家への暴力と
オリーブの木の破壊攻撃が繰り返されてきました。
ハマスの奇襲攻撃のあった2023年10月以降は、
入植者による暴力行為はますますエスカレートし、
23年末時点での西岸地区におけるパレスチナ人の死亡者は319人に達し、
うち83人が子どもです。
イスラエル兵と入植者は自制することなく実弾を発砲しているとのことです。
─とても農作業どころではないと?
入植地に近いオリーブ畑では畑に行って収穫できる状況にないそうです。
パレスチナのオリーブオイル出荷団体UAWCによると、
2023年は65%のオリーブが収穫できなかったそうです。
多くの農民が主要な収入源を失ったのです。
西岸地区では23年に、農民を含む4000人以上が強制退去させられています。
入植者や軍隊の暴力によりパレスチナ人が命を落とし、
農地を奪われる。この惨劇は長年続いてきたことです。
イスラエルによるパレスチナの軍事占領を終わらせないかぎり、
オリーブ農家が平和に暮らすことはできないのです。
イスラエル入植者によって燃やされるパレスチナオリーブの木
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