わたしたちの学び舎だから(特 集 快適な夏をつくる 「断熱」の知恵より)

千葉商科大学 学生団体SONEの皆さん
写真/堂本ひまり
住まいや公共建築の断熱改修が進むと、冷暖房の省エネが進み、住環境も良くなります。 
少しでも「断熱」を身近に感じてもらおうと、ユニークな試みが始まっています。
千葉商科大学の学生が中心となった「断熱DIYワークショップ」。その舞台裏とは─。

わたしたちの学び舎だから
学校法人千葉学園 千葉商科大学 学生団体SONE

<自分で体験しないとわからない!>  

千葉県市川市国府台にある千葉商科大学を訪れたのは、5月下旬のこと。
木々の新緑がとても気持ちいい、こぢんまりとした素敵なキャンパスです。  

お邪魔したのは、大学4号館にある414教室。
同大学で2例目となる断熱改修を施した教室で、
担い手となったのが学生団体SONEの皆さんです。
窓側の壁には断熱材を嵌め、国産木材の羽目板で仕上げています。
窓には、断熱効果の高いポリカーボネートを
二重に嵌めた木枠の内窓を設置しています。

断熱改修を行った千葉商科大学414教室

「今日は過ごしやすい気温なので、断熱の効果が出にくいかも」
と話すのはSONE代表の渡辺美月さん(人間社会学部3年)。
窓にサーモカメラを近づけ、内窓を開けた状態と閉めた状態の温度を測ると、
およそ2℃の差がありました。 

「真夏や真冬だと、5℃くらいの断熱効果があります」
と教えてくれたのはSONEメンバーの盛川美優さん(人間社会学部2年)。
「壁の羽目板を外すと、なかに断熱材が嵌めこんであります」
と同じくメンバーのエスポジット縁蔵さん(商経学部2年)。
「木のあたたかみを感じて、ほかの教室に比べるとほっとしますね」と言うと、
3人はうれしそうな表情を浮かべました。

「昨年の夏は猛暑でしたが、この教室で授業を受ける学生から
『寒すぎる』と言われたこともありました。
断熱の効果がありすぎたんです。
エアコンの設定温度を、28℃から上げたこともあります」(渡辺さん)  

2018年発足のSONEは、
「Student Organization 
for Natural Energy
(自然エネルギー達成学生機構)」の略。
日本初の自然エネルギー100%大学(※1)を目ざすなか、
「学生に無理をさせない省エネ活動」を活動理念にしています。
「打ち水で涼しく大作戦」「再エネイルミネーション」
などの学内イベントを企画・開催。
現在は17名のメンバーが所属しています。

「SONEの活動に参加するまで、
『断熱』という言葉そのものを知りませんでした。
去年6月に、八ヶ岳エコハウス『ほくほく』(※2)を見学したんです。
部屋にいるだけで気持ちよくて、寝ちゃいそうになって(笑)。
断熱って、自分で体験してみないと素晴らしさがわからないんですよね」(渡辺さん) 

「父が建築やものづくり関係の仕事をしているので、断熱の効果は知っていました。
ただ、省エネや地球温暖化防止につながる発想はありませんでした。
SONEの活動を通じて、断熱には快適な暮らしだけではない
可能性があることを知りました」(エスポジットさん)

(※1)「大学で創るエネルギー(太陽光発電など)
=使うエネルギー(照明、エアコン、パソコンなど)」とし、
ガスを含む全てのエネルギーの自然エネルギー100%を目ざす
(2019年に電力において達成)。
(※2)山梨県北杜市。八ヶ岳南麓の築40年の空き家をリノベーションした
地球にも人にもやさしいカーボンニュートラル、光熱費0円の環境住宅。

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