那須さん(右)と理事の津金愛佳さん(左)。 津金さんは友人の子どもに聴覚障がいがあったことがきっかけで手話を学び、 現在は手話通訳士として活動 写真/堂本ひまり なす・かおり 生まれつき重度の聴覚障がいがあり、「 聞こえる・聞こえないの狭間」を生きてきた経験から 神奈川県茅ケ崎市で「4Hearts」の活動を開始。2020年に一般社団法人化。 「スローコミュニケーション」のまちづくりを推進。
新しいアクションを起こしている人に注目する連載「動くヒト」。 今回は、聴覚障がい者としての経験から、 相手の立場を想像する「こころのゆとり」をもった スローコミュニケーションを推進する那須かおりさんです。 【明日へのアクション 動くヒト】 聞こえなくても、 同じ瞬間に笑いあいたい! 一般社団法人4Hearts 代表理事 那須かおりさん
<自分はどちらの世界にも入れない >
生まれつき重度の聴覚障がいがある那須かおりさん。
小・中学校は一般の学校に通いましたが、
小さいうちは自分と周りとの違いが理解できていなかったと言います。
相手の口の動きから何を話しているのかを推測し、
発声も上手だったために「聞こえないふりをしているんじゃないか」といじめられるなど、
つらい思いをしてきました。
「高校はろう学校に進みましたが、
今度は同級生たちの手話での会話がわからなかった。
自分は聞こえる世界にも、聞こえない世界にも入れないと感じていました」と那須さん。
地元である関西を離れ、新しい環境を求めて神奈川県に移住。
それまでの経験から人が信用できず、
表情も失っていたという那須さんですが、
手話通訳士の津金愛佳さんと出会い、
2019年にコミュニケーションにおける社会課題を解決する団体
「4Hearts」を立ち上げます。
「津金さんとは手話を学び直すために入った地域の手話サークルで出会ったのですが、
お互いに第一印象は悪かったんです(笑)」
しかし、お互いの夢を話すなかで
「産業カウンセラーの資格をとって社会で働く聴覚障がい者の支援がしたい」という那須さんと、
「聴覚障がい者が気軽に愚痴をこぼせる場所をつくりたい」という津金さんは、
一緒にその夢を実現させようと活動をスタートさせます。
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◆7・8月号目次◆
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