「お茶飲んでけ」祖母が残した“まほうの小屋”で(特集「ひとりで みんなで ごはん食べた?」より)

現在、第三子の育休中の小室順子さん(左)と、代表の小泉景子さん

徳川家康も通ったという歴史ある中原街道の、横浜市は徳持交差点近く。
600坪の畑と小屋は、チャコさんが日中を過ごす場所でした。今は孫世代のふたりが、
「みんなでつくるみんなの居場所」として開放しています
文・写真/やまがなおこ

コミュ力が高かったチャコさん  
街道から脇道に入ってすぐのプレハブの建物の引き戸を開けると、大きなテーブルのある室内には、
赤ちゃんやおばあちゃん、小学生が。代表の小泉景子さん、いとこで副代表の小室順子さんが迎えてくれました。
「まあ、どうぞー」と、さっそくお茶をいれてくれます。
チャコさんこと故・小泉ヒサさんは晩年まで畑しごとに精を出し、小屋では近所の人にお茶をふるまい、
にぎやかに過ごしていました。「子どものころから、この前を通るといつも笑い声が聞こえてた」と、
景子さん。順子さんが「おばあちゃんはほんとにコミュ力が高かったよね。何かの捜査でこの辺に来た刑事さんにも
お茶飲んでけ〜って声かけて仲良くなって、あとで警察署に遊びに行ったりしてた」と話すと、
どっと笑いが広がりました。


誰でもいつでも来ていい居場所
 
そんなチャコさんが高齢で自由に動けなくなり閉めていた小屋を再開したのが、景子さんと順子さんでした。
当時、小学4年生だった子どもが不登校になり、景子さんは居場所を探していました。
ちょうどふたり目の子の育休中だった順子さんは「今ならできる!」と即、行動。親戚や地域の人の手を借りて、
土間だった小屋に床を張り、壁も明るい色に塗って改装します。畑と小屋のあいだには芝生の広場を設け、
2017年12月、チャコ村として開村しました。畑での農作業や、芝生の広場でのラジオ体操、イベント開催などのほか、週3日、午前9時から14時ごろまで、小屋を開いてきました(2025年4月より週1日に変更)。近隣の高齢者や親子連れ、小中学生、10代から20代の若者など、たくさんの人が入れ替わり訪れ、しゃべって食べて、自由に過ごす場所です。「当時赤ん坊だった子は、ここでいろんな人に可愛がられて、小学1年生になりました。この間も『ちょっとニンジン採ってくるー』って畑から抜いたにんじんをおやつにかじるような野生児です」と順子さん。常連の茂子さんは、「ここってね、生きがいなのよ。今日は何曜日かな、小屋は空いてるかなって、毎日のぞいてるの。ここにいたら誰かとお話しできるし、楽しいでしょ」と目を細めます。

笑いが絶えない チャコ小屋

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◆3.4月号目次◆

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