津波で失われても地元の人には見えているもの(特集2「だから、私は撮る」)

種やさんの外観。震災後のかさ上げ工事の進む中、ぽつんとある。

津波で失われても地元の人には見えているもの
『息の跡』の小森はるか監督

復興工事で変わっていく街の姿。写真提供/KASAMA FILM+KOMORI HARUKA
東日本大震災のボランティアとして
岩手陸前高田市に足を運んだ小森はるかさん。

その目に映ったのは、津波で変わり果てた風景さえも、
復興の工事で刻一刻と失われていく街の姿でした。
記録することの意味と向き合うなか、
作品『息の跡』が生まれました。

◆小森はるか(こもり・はるか)
1989年静岡県生まれ。映画作家。
震災後の陸前高田市で撮った『息の跡』が、
山形国際ドキュメンタリー映画祭で高い評価を受け、
初の劇場公開作品に。
2015年、仙台に拠点を移す。

種やさんの外観。震災後のJかさ上げ工事の進む中にぽつんとある。
小森はるか監督『息の跡』
2016年/カラー/DVD・Blu-ray/93分
公式サイト
震災後のかさ上げ工事が進み、茶色の地面が広がる風景の中、
ぽつんとたたずむ一軒の種苗店「佐藤たね屋」。
津波で自宅兼店舗を流された佐藤貞一さんが営業を再開した。
佐藤さんは、種苗販売のかたわら、津波の経験、陸前高田の歴史や文化などを、
独習した英語、スペイン語、中国語で書き、自費出版している。
日本語で書くとつらい記録も、外国語でなら書けるのだった。
津波の記憶が薄れゆく現実に立ち向かうドン・キホーテのような姿を、
カメラは追う。

この記事は2017年10月号でご紹介しています。
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