移住して見つけた 食も、楽しみも、生み出すくらし
写真提供・文 浅野拓也(研修コーディネーター・ライター)
震災を機に、縁もゆかりもなかった南三陸へ移住を決断して4年。
海外ばかりに目を向けていた元バックパッカーの私が魅せられたのは、
大きな困難のなかでもひたむきに前を向いて突き進む人々の強さだった。
アフリカで出会った「Positive Living」
電気もガスもない村で、ウガンダ人とともに共同生活を送りながら
エイズで親を失った子どもたちへのプロジェクトに3週間ほど携わった。
そこで出会ったのは、貧しくても楽しみながら毎日を生きる人の姿や、
ものがなくてもあるもので遊びを生み出す子どもたちの。
「かわいそうな子どもたち」と私が決めつけていた子どもたちは、
私がそれまで出会ったことのないような
「Positive Living」という生き方をしていた。
私は子どもたちに勇気付けられ、元気をもらっていた。
前を向いて生きる人々に魅せられて、移住を決断
震災から2年以上たったある日に出会った
とある男性のひと言が今も胸に刻まれている。
「生き残った俺らは、ポジティブに生きなきゃよ、
流されていった奴らに顔向けできないよ」
消費から生産へ。
自分で生み出す楽しみを知る。
食糧だけでなく、電気がガスも含め、
生きるために必要な最小限のものを地域で賄えるようにする。
震災を教訓に、災害に強いまちを目指す南三陸の
ひとつの合言葉のようになっている。
そんなまちで活動をともにすると、
暮らし方に大きな変化があらわれた。
文・写真提供/浅野拓也
●浅野拓也(あさの たくや)
1988年、埼玉県生まれ。慶應義塾大学在学中に、
アフリカや中東を旅してNGO活動に従事。
東日本大震災を機に、災害ボランティアに参加し、
2014年2月に宮城県南三陸町へ移住。
現在は、南三陸町に訪れる大学生や企業の研修コーディネートのほか、
フリーライターとして活動もしている。
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