「〝地域の困った〟は見過ごせない」。走れ、届け!おれたちの熱き心!!(10月号「わたしたちの志事」より)

株式会社ロジカルが参加する炊き出し「新宿ごはんプラス」の会場

「〝地域の困った〟は見過ごせない」。走れ、届け!おれたちの熱き心!!
株式会社ロジカル(東京都足立区)
さまざまなかたちで『のんびる』を応援してくださっているセカンドリーグ賛助会員の皆さん。
パルシステムの商品を組合員にお届けする㈱ロジカルさんには、2006年の創刊当初からご協力をいただいています。
今回は、11月15日に開催する『のんびる』10周年記念シンポジウムにも登壇予定の久保裕介さんに、
同社の“熱き志”を語っていただきました!

株式会社ロジカルの久保さん
今回取材を受けてくれた久保さん。

新宿ごはんプラスの会場
「新宿ごはんプラス」の会場
。食べ物だけでなく、医療・生活の相談も。

新宿ごはんプラスの活動

─ロジカルさんには、セカンドリーグのサポーターズ(賛助会員)として、創刊当初から『のんびる』を応援していただいています。
 毎月第1土曜日に都庁で行っている「新宿ごはんプラス(※2)」の活動に、弊社もお手伝いをさせていただいています。そのこともあって、『のんびる』の貧困や福祉に関係する記事は、とても参考になります。

─ごはんプラスの活動をお聞かせください。
 2014年9月に活動が始まりましたが、その少し前に、パルシステム連合会の方から、「会場で配るお弁当を、運んでほしい」と相談を受けたんです。貧困問題は、個人的にも関心があり、企画段階から参加させてもらいました。
 活動の流れですが、弊社配送車両を使用して、貧困問題の解決に取り組むNPO法人もやいに立ち寄り、テーブルや椅子などの備品を載せます。そして、浅草橋にあるセカンドハーベストジャパンに行き、できたてのお弁当を載せて都庁に向かい、活動を行います。そのあと、もやいに備品を戻し、私たちの活動は終了です。

─ロジカルの皆さんは、ボランティアですか。
 弊社の社会貢献活動の一環ですが、参加するスタッフは、業務扱いにしています。各センター(事業所)で働く従業員は、平日の配送業務で忙しく、週末の活動は難しいんです。まずは、本部のスタッフで活動をまわしながら、無理のないかたちで、社員に参加を呼びかけていくつもりです。ごはんプラスの活動は、社会の現実を知ってもらう機会でもありますので、これからも続けていきたいです。

─久保さんは生活サポート生協(※3)の連続講座「身近な貧困 いま私たちに何かできるのか」で、ごはんプラスの活動報告をされています。
 連合会の方が、「久保さんの感じたことを、そのまま話してほしい」と。その言葉に励まされ、私が感じたままのことを、お話させていただきました。私自身、「働かざる者、食うべからず」という気持ちがありました。でも、ごはんプラスにかかわるなかで、それは偏見だと気づきました。病気や失業など、やむを得ず生活に困窮する方は多いですし、若者、シングルマザー、高齢者のなかには目に見えない貧困で苦しむ方もいらっしゃいます。
 ごはんプラスの活動日には、お医者さんや司法書士の方がいらして、医療・生活相談会を開いています。悩みをわかち合い、社会復帰のきっかけにしてもらうためです。
 でも、相談にいらっしゃる方のなかには、社会に絶望していたり、人間不信に陥っている方も多いです。厳しい現実を目の当たりにして、支援の限界を感じることもあります。

成功の反対は〝失敗〟ではない

─ロジカルの永島浩一社長は、御社のwebサイトに「生協組合員様や地域生活者のくらしの中の『困った!』を共に考え、解決していける事業者の一人として」と書かれておられます。
 生協組合員の皆さんに、安全かつ確実に商品をお届けする。そのうえで、会社の価値を高めていきたい。たとえば、組合員さんのお宅の新聞受けに、新聞がたまっているとします。ご高齢の組合員さんの場合、「もしかすると、何かあったのでは?」と機転をきかせるような人であってほしい。そうした意識をもつ人間が配送するからこそ、「地域の困った」も見えてくるはずですし、結果的に会社の価値を高めることになると思います。

─久保さんがパルシステムの配送の仕事に携わってどのくらいですか?
 パルシステムの前身からなので、かれこれ20年になります。私が入社した頃は、サンダル履きで商品を配達する、やんちゃな先輩ばかりでしたが(笑)、そんな先輩たちが育んできた社風こそ、弊社のよさだと思っています。
 頭でっかちな社風だと、〝想い〟より〝現実〟、〝運動〟より〝事業〟を優先しがちじゃないですか。ごはんプラスの活動だって、「土曜日は休んで、平日の業務に励め」となりかねない。事業はもちろん大事です。でも、それだけでいいのかな、と。
 弊社と同じ考えをもつ産地やメーカー、職員や組合員の方は、多いと思います。そうした人材を横に、縦につなげていけば、さらに生協の存在意義が高まると思います。たとえ少ない回数、人数であっても、続けていくことで、なにかしらの結果が出る。ごはんプラスや南三陸での活動も、そう信じて続けています。

─南三陸の活動とは?
 年に一度、宮城県南三陸町に社員有志でお邪魔して、南三陸木の家づくり互助会(※4)の活動に参加しています。この活動は、震災のあった2011年に開始した、被災地ボランティア活動から進化したものです。被災地では、土地がかさ上げされ、町が少しずつ復興しているように見えます。でも、まだまだ手つかずの場所もあります。こうした気づきは、社員と共有していかなければいけないと考えています。
 社内の研修などで、よくこう言います。「成功の反対は〝失敗〟ではない。〝なにもしないこと〟だ」。頼まれたら、できるだけ実行する。「できない」ではなく、できることを模索する。暮らしや地域の困ったを解決する生協の活動に、われわれ事業者が、どのように関わっていくのか。これからも、模索を続けてまいります。
─力強いお言葉、ありがとうございました。

(※2)ホームレス状態や生活困窮状態にある人びとを支えるため、東京都内の各団体・個人が連携して活動。
   毎月2回(第1・3土曜日)、新宿で食事(弁当)の提供、暮らし・健康の相談会を行い、
   貧困・ホームレス問題の啓発活動にも取り組む。
(※3)消費者被害の防止活動、生活困窮者への相談と支援、ご近所・家庭トラブルの解決サポートなど、
   さまざまな取り組みを続ける。
(※4)宮城県南三陸町をフィールドに、地域の森林資源を活用した、会員間の互助による木の家づくりと暮らしの創造を図り、
   持続的な資源循環の地域づくりを目ざす活動団体。

株式会社ロジカル
2007年、運輸・旅客・飲食事業を担うアシストグループより、
パルシステム生協の個人宅配を専門に受託する子会社として分社化し設立。
現在は12事業所(配送センター)を拠点に、パルシステム東京、パルシステム神奈川ゆめコープ、
パルシステム埼玉の約14万世帯の組合員宅に商品をお届けしている。
CO2の排出を控えた低排出車両の導入など、安全かつ環境に配慮した配送事業に取り組むほか、
地域の見守り活動にも積極的。

 ロジカルの皆さん。配送センターで集合!

◆『のんびる』2016年10月号 目次
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