【のんびるインタビュー】急がず、焦らず、 自分らしく  起立性調節障害のわが子とともに

のざわ・きくえ
長女が起立性調節障害(OD)と診断されたのを機に、
病気の認知と理解を目的とした活動を始める。
2022年には当事者団体「Kiku-Ne」を立ち上げ、
講演、学校・教育関係者への啓発活動、保護者交流会や相談会、
自主上映会などに取り組んでいる。
写真/堂本ひまり
 
【のんびるインタビュー】 
急がず、焦らず、 自分らしく  
起立性調節障害のわが子とともに 
野澤菊枝さん(Kiku-Ne代表)

<姉妹それぞれの病と向き合って>

─起立性調節障害は子どもによって、さまざまな症状があると聞きました。  
 
長女(大学2年)は、小6の秋くらいから、
原因のわからない頭痛、腹痛、微熱が続きました。
中2のとき、起きあがれない症状が出て、
起立性調整障害と診断されました。
次女(高校1年)は、小さいころから頭痛がひどく、
お腹の調子も悪かった。
中2のとき、思うように動けなくなり、
這ってトイレに行くような状況になりました。
同じ起立性調整障害でも、
次女のほうが急に発症した印象があります。
 
─母親としての向き合い方も、姉妹それぞれで違うのではありませんか。  
 
長女と次女は性格が正反対で、
接し方も声のかけ方もぜんぜん違いますね。  
 
長女はポジティブで、学校が大好き。
部活で吹奏楽に熱中していて、無理をしすぎることが心配でした。
病気と診断されたとき、
私はフルタイムの仕事と次女が通う中学のPTA会長をしていて、
本当に忙しかった。
長女の性格を考えると、
母親がいつもそばにいないことが逆にいい距離感でした。
長女は「学校に行けないのは休養の時間」というマインドになり、
私も必要なときにそばにいるようにしました。  
 
次女はどちらかといえばネガティブで、
いつも不安を感じやすい性格です。
発症してからは、一人で外出することができず、
外出時には私の腕につかまって、
ゆっくりゆっくり歩くような状況でした。
次女の病気がわかったときは、
私も仕事を休んでいた時期で、
いつもいっしょにいることができました。
 
─姉妹とも公立の中学を卒業して、単位制の定時制高校に進まれたそうですが。  
 
長女は学校も部活も大好き。
中3の夏休みまでは全日制を希望していました。
そのためには中学の出席日数や成績などのハードルも高い。
本人のやりたい気持ちと現実が伴わず、母親としてもそこがつらかった。  
 
悩んだすえに長女が出した答えは、
「みんなと同じ高校生活が送れるなら、部活をあきらめてもいい」。
「学校には通いたい! 部活は絶対に諦めたくない!」という長女が、
ある日つぶやいた言葉です。
親としては何とかして叶えてあげたい。
近所の私立校なら、担いででも行けるんじゃないと。
そんな理由で参加した私立の学校説明会の個別相談で、
「起立性調節障害は正当な理由になりません」と言われました。
その言葉で私もふっきれました。  
 
私たちが出した結論は「全日制にこだわる必要なんてない」でした。
通うことも、部活も、諦めることなく学べる場所は全日制だけじゃないと。
全日制ではなく、都立のチャレンジスクールに進みました。
長女は5年かけて卒業し、今は大学で心理学を専攻しています。
自分の経験を生かして、子どもたちに寄り添うカウンセラーを目ざしています。
次女も、長女と同じ学校に通っています。
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Kiku-Ne
団体名には、さまざまなKiku(聞く・聴く・効く・訊く・利く)と、
たくさんのNe(根・音・輪廻の廻)が合わさった社会を、との想いを込めた。
【Eメール】kikue@kiku-ne.org

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