オンラインでつながる。この町で暮らす。 (特集:誰も取り残されない? スマホ、SNS、アプリより)

「Geminiオンライン日本語教室」グループレッスンのイメージ 
 イラスト提供/Gemini 文/やまがなおこ 写真/堂本ひまり
「国を持たない世界最大の民族」と呼ばれているクルド人。
埼玉県蕨市と川口市には、
さまざまな事情で日本へ逃れてきた約2,000人のクルド人が暮らしています。
「日本語を学びたい!」というクルド人女性の声をきっかけに、
オンラインの日本語教室が始まりました。
 
オンラインでつながる。この町で暮らす。
Geminiオンライン日本語教室(埼玉県蕨市、川口市ほか)

<「ハニムとゾフレのだいどころ」>

さいたま市南区の「ヘルシーカフェのら」では月に1回、
ビュッフェスタイルのワンデイレストラン「ハニムとゾフレのだいどころ」
がオープンします。
羊飼いのサラダ、ひよこ豆のピラフ、ラム肉とチーズと野菜のピリ辛パイ「キョンベ」、
ピスタチオたっぷりのパイ菓子「バクラヴァ」など、
できたてのクルド料理が全10品。
「Gemini オンライン日本語教室」の先生たちが主体となり、
本場の美味しいクルド料理を2人のクルド女性(ハニムさん、ゾフレさん)が
ボランティアで作っています。
楽しそうに(美味しそうに)食事をする方のなかに、Geminiの先生がいました。
 
「『日本で暮らすクルド女性に、ボランティアで日本語を教えませんか』
という呼びかけをSNSで読み、思いきって申し込みました。
今は来日したばかりの方がおひとり生徒さんで、
最近はお子さんの宿題をみることもありますよ」  
 
その話をそばでうれしそうに聞いているのが、Gemini代表の磯部加代子さん。
1999年から2001年までトルコに遊学。
帰国後、トルコ語の通訳・翻訳者となり、2003年からクルドの人たちと関わります。
クルド人は世界でおよそ3000万人、その半数がトルコで暮らしています。
トルコで差別や迫害を受け、やむなく日本に逃れてきたクルド人の多くが、
蕨市と川口市で暮らしています。
 
「在日クルド人を支援する『クルドを知る会』の中島由佳利さんと出会い、
イベントや通訳のお手伝いを始めました。
私はマイノリティの人たち、少数民族や女性と関わりたかったので、やりがいがありました」  
 
磯部さんは子育てをしながら、通訳や翻訳の仕事を続けます。
2020年の新型コロナウイルス感染拡大では、
在留資格がない人には10万円の特別定額給付金が出ないことを受けて、
何かできることはないかと模索しました。
そこで在日クルド人に向けてトルコ語に翻訳し、SNSで情報発信しました。
「トルコは携帯電話の普及が日本より早く、スマホを使いこなすクルド人もたくさんいます。
スマホとWi‒Fiがあればやりとりできますし、コロナをきっかけに、
フェイスブックのメッセンジャーで相談ごとも聞くようになりました。
そのひとつが『日本語を学びたい!』です。
私は語学を教えるのに向いていないので、
日本語教育を学ぶ大学生にボランティアで先生をお願いして、
オンラインの日本語教室を立ち上げました」
 
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