「里山で自然農を営んでいます。農薬も化学肥料も除草剤もなし。 循環のなかで虫や鳥や微生物とともに野菜も育つ。 人も育つ。恵みは分け合う。争わないのが自然農です。みなさんもご一緒に」 こんなメッセージを掲げる農学校の見学会に参加しました。
やってみたい人おいで! 生かされ育つ 自然農の学校 すどう農園「さとやま農学校」(神奈川県相模原市) <身を置くだけで五感が開く> 「この子はアンデス出身だから、暑いのはいいんだけど、 根元のあたりは風や光が通るように、脇芽は取っちゃってください。 それから、こっち見てくださいね。重みで茎が折れちゃった。 どうにかなんないかなぁって思ったけど、この子は見切ります。 かわいそうだけど、ここまで折れちゃったら、トマトの骨折は治らないから。 この青い実はね、食えます。ピクルスにしてもいい。 折れた枝も、水につけてぴーんとさせて天ぷらにして食えます。 で、残った茎は、まだ捨てない。根っこがちゃんと生きてるから。 この人は上に行こうとしているんだけど、倒して着地させると、 だんだんここに根っこが出てきて、 もうひとつ別のトマトとして根ざしていくんです。 あいたスペースには……」 土曜日クラスのみなさんが見守るなか、 トマトの畝で育つ1本1本の状態を見て、 ハサミを入れたり説明したりしているのが、主宰の須藤章さん。
「もう1回、基本的な剪定をいいますね、 トマトにはメインの枝があるんでしたね。はい、どれでしょう? 視点を変えて、上から見るとわかる。これがナンバー1で、こっちがナンバー2、 その分かれ目が第一花房。いちばん最初の花は枝を大きく育てるために取るんですが、 これは、実をつけるために生かしたんだったね。 じゃあ、各自、目の前のトマトで脇芽を取ってみてください。 伸ばす枝は紐でネットに吊るしていきます。わからなかったら聞いてください」
疫病で具合の悪そうな1本は根っこから抜きました。 その前には「この葉っぱ、よく見てくださいね。チリチリ丸まってるんだよね。 それで実の肩の部分には黒い点が出ています」と観察のポイントを説明。 続いてキュウリの畝では、タネをとるために太らせている実の前で、 「もう少しするとね、メロンみたいな甘い香りがしてくる。 あるいはある朝、弾けてます」。目で見て、匂いを嗅いで、 土や枝葉に触れて、五感がみるみる開いていくようです。 カボチャに落花生に声かけしながら、次は里芋のコーナー。 おや、こちらは草がぼうぼうですが?
「里芋は水が大好きなの。草をきれいに刈ってしまうと乾燥でやられちゃうから、 これくらい生やしてても今は大丈夫。 ただ、8月に入ったらどんどん草を刈って株元に敷きます。 あんまり暑いから、土寄せはやめたんだよね」
説明をして作業を促し、水分補給の声かけ、 質問に答えながら、次に植えつける苗の様子を見て…… 須藤さんはゆったり話し、動き続けます。
休憩用ハウスに戻ると、スタッフの森田さんがさっき収穫した キュウリをさっと切ってすすめてくれました。 この相模半白キュウリは馬込半白を改良したもので、 江戸時代、本郷にあった前田様のお屋敷の加賀白キュウリ あたりが由来ではと須藤さん。 みずみずしいキュウリに粗塩をつけてかじると、滋味がしみます。
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◆9・10月号目次◆
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