2024年夏より、急激に値段が上がったお米。腹持ちがよく、冷めてもおいしい、毎日の食卓に欠かせない主食だけに、育ち盛りの子どものいる家庭への打撃は大きい。子ども食堂などを運営する団体ではこの〝米騒動〟どのように受け止め、何に取り組んでいるのか。お話を伺うと、お米をはじめとする「食べもの」が、地域の〈おせっかい〉の要として大きな意味をもつことが見えてきました。 文/やまがなおこ 写真提供/WAKUWAKUネットワーク

食支援ネットワークがコロナ期に力を発揮
「困っている家庭への支援で喜ばれるダントツトップはお米です」と、豊島子どもWAKUWAKUネットワーク(以下、WAKUWAKU)理事長の栗林知絵子さん。
2012年の設立以来、プレーパークと子ども食堂を柱に、無料学習支援、外国ルーツの子ども交流会、緊急時に宿泊も可能な居場所運営など、さまざまな活動で子どもを支えてきた立場から見ると、そもそも24年の米価高騰以前から、「5キロで2000円がいっぺんにお財布から出ていくのはたいへんだったんです」。
そこで、WAKUWAKUではコロナ前から食支援の地域協力体制づくりに取り組んでいました。
区内子ども食堂のネットワークの事務局は、すべての人・団体に情報を届けるには行政の関わりが不可欠と説得して、豊島区子育て支援課に。ひとり親家庭に食料品を送る取り組みは16年、地域の拠点で食材を受け取れるフードパントリーは17年夏から2年間、区や区の社会福祉協議会、地元企業など多機関での連携で実施していました。これらの経験が、コロナ禍に力を発揮したといいます。
「2月末に突然、小中学校の休校が宣言されましたよね。その直後から、不安、学校が休みになって困る、仕事を解雇された…いろんな声が届いたので、3月からやろうということで、まず助成金を探してお米を買いました」
フードパントリーでつながった団体で連携して3月から食料の送付・配布を始め、並行してつながりのあるひとり親家庭からのニーズ調査を実施(回答数96世帯)。それをもとに、団体としての活動や、区内の全要支援家庭への情報提供は行政が、手と頭を動かすのは団体と市民という官民連携で、「フードサポートプロジェクト」「ランチサポートプロジェクト」「ライス! ナイス! プロジェクト」「地域がつながるプロジェクト」など、さまざまな取り組みを次々打ち出していきました。
「これから何が起こるか先が見えないときでしたけど、日常のネットワークが本当に役立つなあと感じましたね」
「手渡す」ことでつながるもの
財源確保、米をはじめ物品の調達、配布場所の確保、ボランティアスタッフの募集と研修、物資の運搬、連携者会議などを続けながら、ひたすら食支援をしていたという栗林さんがもっとも大事にしていたのは、食べものを手渡すことで地域の中に顔の見える関係をつくることでした。
「区内に22か所、全小学校区に1つ配布拠点を設けて、毎月、5キロのお米を取りに来てもらいました。行くたびによく来たわねって声をかけられて、地域の中に応援してくれる人がいると感じてもらえたと思うんです。ついてくる子どもたちもそれを感じてくれる。それを繰り返すなかで、何かあったら相談していいということが伝わったと思うんですね」
誰もが喜ぶお米といっしょなら、支援の案内や困りごとの収集依頼など、情報もいっしょに手渡しやすくなります。実は……と打ち明けられたことから、行政の相談窓口や支援機関につなぐ、オンライン授業に対応するためのパソコンとルーターの無料貸与や、シングルマザー向けのパソコン教室や職業相談、公営住宅応募書類の作成会を実施するなど、支援活動のウイングは広がっていきました。<<<続きは本誌1.2月号で

トラックに運ぶボランティアのPくん




